夏休み、かあ………
あっという間だ。
なんて考えていた、昼下がり。
ソファーの上に横たわって雑誌を読んでみたりとか、テレビを見たりとか。
色々なことに集中しようとするものの、何故か必ず精市に邪魔されていた。
読んでいた雑誌を取られたりとか、テレビのチャンネルを変えられたりとか。
しまいにはテレビを消してしまった彼に、私は苛立ちを隠せなかった。
なに?なんなの?
君はなにがやりたいの!?
「どういうつもりなのよ!」
「なにが?」
「私がやることをいちいち邪魔してるでしょ!?」
「…………ああ、うん」
いやいやいや。
うん、じゃなくてね?
もっと他に言うことがあるでしょう。
「ひま」
「だからなに!」
「ひま」
「あーもうっ、なんなのよー!!」
「ひま」
「知るか!」
ひまひまひまって、何度も言わなくても分かるから!
しつこいわ!
「ソラ、なにか面白いことして」
「無理」
「………使えない奴」
「勝手に言ってなさい。私はもう寝る」
「昼寝?」
昨日あまり眠れなかったから、すごく眠いのだ。
たとえ9時頃まで寝過ごしてしまったとしても、ね。
ごろん、ソファーの上で寝返りをうつ。
天井を見上げれば、覆い被さるように精市がいた。
「近い。………あんたって結構スキンシップ多いよね」
「そう?…ああ、もしかしてドキドキしちゃうのかな?」
「す、するわけないでしょうが!このタラシ!」
「可愛くないなあ」
可愛くなくて悪かったわね。
どうせ私は顔も性格も不細工ですよ。
でも今更どうにもならないんだから仕方ないじゃない!
…なんて、むくれていた時のことだった。
精市に腕を引っ張られて、立たされたのは。
「っわ…!な、なにっ?」
「昼寝なら寝室でしなよ」
「そこまで本格的にしなくても……1〜2時間くらい寝るだけだし」
「いいから。ほら、俺の隣空いてるよ?」
にやり。
というより、に―――っこり。
効果音がつきそうなほど極悪な顔で彼は笑った。
「もう一緒には寝ないからね!」
「はあ……俺がそばにいないと泣き出すソラの為に言ってるのに」
「ちょっとまった、それおかしくない!?」
「どこが」
「全てがだよ!」
「全然おかしくないよ。さ、行こうか」
「わ、ちょっ、待ってよ!人の話を……………うわあああああ!!!」
こうして私は連れて行かれた。
まあ、うん。
手を出されないだけ、そこら辺の男子よりまだマシか。
それに……もう平気だって言ってるのに。
前みたいに夜な夜な泣いたりはしないよ、だってこんなに近くに頼れる人が出来たんだもの。
私はもう、1人じゃない。
それがわかったから……
昼寝は寝室で!
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