それは突然の死だった。
ある朝、「いってきます」と言って学校へ行き、帰ってきたら家には誰もいなくて。
何時間してもお母さんは帰ってこなくて。
結局、その日はそのまま寝た。
けれど、次の日。
もう長いこと会っていない親戚から電話がきて、その時に私はお母さんの死を知った。
どうして?
この世でたった1人の親だったのに、なんで私を置いていってしまったの?
ちなみに、私にはお父さんがいない。
私が小さい頃に亡くなったんだって。
だから私はお父さんのことを覚えていない。
けれど、その代わりお母さんからは幸せだった日々のことをたくさん教えてもらった。
……………でも。
もう、大好きだったお母さんさえもいない。
「…………はぁ……」
そっと、ため息をつく。
リビングのソファーに仰向けに寝転がり、目元を腕で覆った。
ああ、お葬式やっと終わったんだ……
ぼんやりとした意識の中、そう考える。
まだ高3の私は冠婚葬祭についてよく知らないから、すべて親戚の人に任せておいた。
……これで、私にはこの家しか残っていないということになる。
そして、たくさんの思い出がつまっているこの家を手放したくないから、私はこれからここで1人暮らしを始めることにした。
それを親戚の人たちに言ったら、どこかほっとした表情になって。
私は必要とされてないんだって、言われなくても感じた。
そりゃそうだよね、みんなの家にはもう子供がいるんだし、私なんて引き取る余裕なんてないよね。
そんなことわかっているけど……………
やっぱり、現実を突きつけられているようで胸が苦しかった。
私はこれから、ひとりぼっちだ。
でも、私は生きていける。
たとえ1人でも――――
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