「精市、精市、起きて」

「ん………」



俺はその日、ソラの声によって起こされた。
そして、ぴょんっとベッドにのぼってきたかと思えば、体を揺すられる。(2人でもベッドの上は全然余裕だ)
もう少し寝ていたい…なんて思いつつも、むくりと起き上がった。



「……なにその極悪な顔」

「うるさい…」

「睨まないでよ、マジで恐いから」

「…んん…………」



ああ、やばい。
頭がくらくらする……っていうかぼーっとする。
それと、無性にイライラする。
……俺の朝はいつもこうだ。
あ、そういえば結構前に合宿でみんなに恐いって言われたっけ……
俺は普通にしているつもりなのに、どうやら相手には恐怖を与えるらしい。
まあ確かに、無意識に殺気立ってしまっているのは否定できないけれど。(だってすごくイライラするんだ、仕方ないだろ?)



「もしかして低血圧?」

「さあね、自分でもよく分からない」

「ふーん…………あ、ご飯出来てるよ。早く起きて」

「…………わかった」



伸びをしながら返事をする。
寝起きでぼんやりとした頭でも、これだけはわかった。
ソラの、少し腫れていた目元………
やっぱり昨夜の泣き声は彼女のものだったらしい。



「着替えてから下に行くよ」

「りょーかい」



と言いつつ部屋を出て行くソラ。
……泣いていたこと、気付かれていないつもりなのだろうか?
まあ、本人が何も言わないなら、今のところはそっとしておいてあげるけれど。

やっぱり、つい最近亡くなったという母親の件が一番の理由なんだろうな……
だって俺は泣かせるようなことは一切してないし。
だから多分、ソラが泣いていた理由は……



「……確かに、急に1人だけになったら寂しいよなぁ」



俺だって、柄じゃないけどさすがに家族が全員亡くなったら、寂しいと思うだろうし。
ソラはあれでも一応女の子だから、相当堪えただろう。

強がっていても、やっぱり……



「……って、なんでこんな分析してるんだろう俺」



柳じゃあるまいし。



………………そして結局、その日の夜も泣き声は聞こえてきた。
おかげで俺は寝不足で、次の日、いつになく機嫌が悪かった。




低血圧?





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