「じゃ、これで適当に買ってきてね。私は食料買ってくるから」
そう言って彼にお金を渡す。
私たちは今、大型のショッピングモールにいた。
いつもは食料品を買うくらいなら近くのスーパーで済ませてしまうのだけど、今日は精市の服とかも買わなければいけないのでここにしたのだ。
なんだかんだ言って、会って間もないというのに私たちはもう打ち解けあえてるみたい。(……多分)
「えー、俺1人で?」
「なにか不満でも?」
「携帯持ってないし、連絡が取れないじゃないか。どうやって落ち合うつもり?」
「あー……じゃあ買い終わったらここで待ってるよ」
「そうじゃなくて。面倒だから一緒に行こう」
「は?やだよ!」
「来い」
「やだってば!」
「何回言わせるつもり?俺は来いって言ってんの」
「ひいいっ」
にこり、私に向かって微笑みかける。
でもそれは決して穏やかなものではなかった。(う、後ろに真っ黒いオーラが…!!!)
心なしか、冷や汗が流れていくのを感じる。
「わ、わかったよ…!」
「ふふ、最初からそう言えばよかったのに」
「……もう、ワガママなんだから」
「なにか言った?」
「い、いえ!」
そして、精市に続いて歩き出す。
おかしいな、小声で言ったはずなのに……
あ、あれか。
まさに地獄耳!
「だーれーが、地獄耳だって……?」
ゴゴゴゴゴ、と地響きが聞こえてきそうなくらい、恐ろしい顔で振り向く彼。
私は思わず真っ青になった。
……そうだ、精市は心を読むという(かなり迷惑な)技が使えるんだっけ……!!
うわあああ、なんかすごく怒っていらっしゃる!!
「いや、あの……それは、」
「は?聞こえないよ」
「す、すみませんでした――――っ!!!」
ああ、なんで私こんなやつに敬語使ってんの…!
…………あ、そういえばこの人一体いくつなんだろう。
私よりも年上だったりするのかな?(大人っぽいもんね)
「ね、精市って何歳?」
「話変えるなよ」
「う…」
「はあ………高3だけど」
「えっ、うそ!!」
まさかの、私と同い年!!?
うわ、なんかすごい………!(この人が私と同い年!?)
「で?ソラは?」
「あ、私も高3だよ」
「…………え、なにその笑えない冗談」
「冗談じゃないし!」
「えー………」
なんかすごく失礼だな!
私を何歳と思ってたんだこいつ。
「っていうか、精市のほうがびっくりだよ!」
「なんで」
「年上かと思ったの。妙に大人っぽいから」
「ふーん……つまり俺が老けてるって言いたいわけ?」
「いや違うし。そんなこと言ってないでしょ」
「じゃあどういうこと?」
………あーもう、つくづく面倒な奴だな!
Let's go shopping!
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