放課後。
青学のテニスコートで、試合が行われていた。
試合といっても、R陣による練習試合だけどね。



「越前、さっきの試合はどうだったんだい?」



タオルで汗を拭きながら、隣のベンチに座る不二先輩。



「もちろん勝ったっスよ」

「流石だね」

「先輩だって桃先輩に余裕で勝ってたじゃないスか」

「あぁ、見てたの?」

「……暇なもんで」

「ふぃー!疲れたー!」



今度近づいて来たのは、さっきの試合で不二先輩に負けた桃先輩。
同じくタオルを持っていた。



「不二先輩ってば容赦ないんだもんなー!」

「フフッ、当たり前でしょ?」



二人の会話をよそに、ちらりと他のコートに視線を向けたら、そこでは乾先輩と菊丸先輩の試合をしていた。
どっちが勝つんだろうな……とか思いつつ、眺める。



「リョーマ―――っ!!」

「うわっ!?」



突然、後ろにある(微妙に遠いけど)フェンスから声がかかる。
手を振ってくるそいつは、案の定外村だった。



「おっ、可愛い子じゃん!」

「越前モテモテだね。あの子が噂の外村あやちゃんかい?」

「なんで名前知って………ていうか、なんスか噂って!」

「結構有名だよ?越前と常に一緒いる女の子って。ね、桃」

「そっスねー!」

「………!!!」



あまりの衝撃的な知らせに、絶句する。
まさか、そんなことが噂されていたなんて知らなかった…



「お似合いだよな、ちっちゃいもの同士でよ!!」

「………一言余計っス」

「ほら越前、行ってきなよ。お姫様がお待ちだ」

「………」



仕方ない、と席を立つ。
外村の元へ行ったら、嬉しそうに笑った。



「えへへっ、応援しに来ちゃった!」

「サンキュ…………ってなんで先輩達も着いてきたんスか」



くるり、顔だけを後ろへ向けるとそこにはさっきの二人が。
それもにこにこ笑いながら………
正直、少し邪魔なんだけど。



「いーじゃんいーじゃん!細かいこと気にするなって!!」



気にするよ!



「あやちゃん、だよね?初めまして。話は越前からよく聞いてるよ」



ていうか話したことないし!



「あ、そうなんですか?えっと……不二先輩、でしたっけ?」

「僕の名前知っててくれてるんだ。嬉しいな」

「不二先輩はかっこいいって有名ですからね」

「フフッ、ありがとう」



外村は俺に会いに来たはずなのに、不二先輩と話している。
それが少し、不満だったりする俺は…どうしたんだろう?



「そんなムスッとした顔すんなよ越前ー」

「別に……いつも通りっスけど」



ただ、少し妙な気持ちがわいてくるだけで。



「越前?この子のことが好きなのかい?」

「………!!」



ふいに、耳元で囁かれて、目を見開く。
好きって………外村を、俺が?

まさか、ありえなさすぎ。



「んなわけないっスから!」

「っ!ど、どうしたのリョーマ?」

「別になんでもない!」





認めてなんかやるもんか

(この気持ちは、絶対違う)



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