「「………あ」」
時刻は昼前で、ファンタを飲みながら歩いていたときの事だった。
ばったり、道の角を曲がったら外村に出会ってしまった俺。
「リョーマ、今部活帰り?」
「ん、今日は午前だけだったから。………そういうアンタは?」
「私?ああ、買い出しだよ」
「ふーん」
どうりで買い物袋を持ってるわけだ。
「あ………」
「なに?」
「別に、なんでもない」
今気付いたけど、初めて外村の私服姿見たような気がする。
というより、休日に会ったのが初めてなのか。
……なんか………新鮮で良いかも。
「あっ、ねぇ!お昼ご飯まだだよね?」
「………まぁ、そうだけど」
「じゃあうちにこない?今日はお母さん仕事でいなくてね、自分で作らなきゃならないの。だから一緒に食べようよ!」
「え……」
それはふたりっきりで、ってこと?
……いや、この流れだと確実にそうだよね。
「さぁ家へレッツゴー!」
「ちょっ、外村!」
そして俺はぐいぐいと引っ張られていった。
なんだか最近、振り回されてばっかりのような気がする…
「ね、なに食べたい?」
エプロン片手に、そう問いかけてくる外村。
俺は今、外村の家のリビングにいて、ソファーに座らされていた。
「別になんでも……」
「そーゆうのが1番困るんですけど」
「………じゃあカレー。誰でも失敗しないだろうし」
「ひ、ひどいー!私、こう見えても料理は得意だもん!」
「へー」
それは初耳だな、と思いつつ適当に相槌をうっておいた。
「リョーマ…信じてないでしょ?」
「さぁ?どうだろうね」
「もうっ!………まぁいいや、じゃあカレーで決まりね」
冷蔵庫の中から色々な物を取り出していく外村。
そして、その姿をじっと眺める俺。
あー……なんか暇すぎ…
「俺も何かやったほうがいい?」
「ううん、大丈夫!」
「……」
大丈夫……と言われても。
一体、俺は何をすれば…
「リョーマは安心してテレビでも見てて?」
心を見透かしたように話しかけてくる彼女に、一瞬ドキッとした。
そして、慌ててテレビをつける。
……でも心のどこかで、テレビを見ているより料理をしている外村を眺めているほうがよっぽど暇つぶしになる、なんて考えていたり。
よく考えれば、こうしてるとまるで夫婦みたいだ。
外村は料理をしていて、俺はそれを待っていて。
………なんとなく、和やかな気持ちになる。
これは、腹減ってるから?
それとも……
外村と一緒だから?
…いや、違うよね。
錯覚だと思い込む
(やっぱり最近、俺変だ)
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