あの日から何日かたった朝。
私は2年の下駄箱の前で…………彼を待っています。
「こらぁぁぁ!!!」
「ひぃっ、ゆうちゃん……!!」
遠くから走ってきて私の元へ来たかと思えば、彼女は私の肩をつかんで思い切り強く揺さぶる。
も、ものすごい形相だったから、思わず叫んじゃったよ………
「またそこで待ってるの!!?」
「え、あ、うん……」
「はあ…まったくあんたって子は……!」
今度は深いため息をつかれる。
なにかいけないことでもしたのかと急に不安になった。
そして、素直にそう聞いたら、またもやため息が。
「いけないとかいいとかの問題じゃなくてね、私が言いたいのは一週間近くもここで赤也に話しかけようと頑張ってるその行動のことよ!」
「え?」
「結局いつも話しかけないままで終わるじゃない!じれったくって見てられないわよ」
「…………うう……」
たしかに、たしかにそうだけど。
何日も待ってるのに、まだ話しかけられないままだけど。
………だって、いざ赤也くんに話しかけようとすると、ドキドキしてしゃべれなくなっちゃうんだもん…
目が合ったときもあったけれど、その時の私は逃げてしまったし。
「…………なにやってんのお前ら」
「げっ、丸井!」
「あ、ブンちゃん……」
いきなり後ろから現れたのは、私の幼なじみである彼で。
変な目でこっちを見ていた。
「頭大丈夫?」
「…え、あ、うん」
「なんで真面目に答えてんのひな!」
「えっ」
「………はあ、やっぱお前ら頭おかしいだろい」
ひ、ひどいよブンちゃん……!
私たち全然おかしくないよ!
………なんて、心のなかで少し反抗してみる。
でもとても口には出せなかった。
「ひな、また赤也のやつ待ってたわけ?」
「…………うん」
「で、また話しかけられなかったと」
「…………うん」
「……お前もずいぶん健気だよなあ…」
「……?……」
健気って、どういう意味だったっけ。
ほめてるのかな?
それともあきれられてるの?
えっと、……どっちだろう。(よくわからない)
それにしても、今日もまた赤也くんと話せなかったなあ。
…なんで、こんなにも私は人と関わるのが苦手なんだろう。
頑張ろうと思うのに。
なのに、いざとなると逃げてしまう。
「そうだ!」
「え?」
なにかをひらめいたらしいゆうちゃんが、とつぜん口を開く。
そしてにっこり笑って、こう言った。
「今日、部活見学においで」
「見学?」
「そう、そして赤也に話しかけるの!」
ええええー!!!
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(恋を進展させるなら、やっぱり自分から行動しなくちゃでしょ?)
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