なんて神様は残酷なんだ。

どうして、こんなにも………俺は天に見放されてるんだ。


『私………好きな人が、できたの』


そう言った時の、アイツの幸せそうな顔。
顔を赤らめて、はにかんで。
……それが頭から離れない。


しかも赤也が好きなんて。
俺は一体どうすればいいんだよ?
とっさに、任せろとか言っちゃったけどさ。

俺だって、ひなのこと好きだったのに。
昔から、ずっとずっと。

だから、大切にしてきたんだ。
誰にも傷つけさせないように、俺が守って。


それなのに………
ひなには好きな奴ができた。

俺に、ひなの初恋を邪魔する権利なんてないだろい?

だから。


俺には、アイツを応援することしかできないんだ………



「ブンちゃん」

「………あ?」

「どうしたの?ぼーっとして…」

「ああ、別になんでもないぜぃ」

「…………?」



帰り道、歩きながら俺の顔を心配そうに窺ってくるひな。さっき俺は、こいつに好きな奴ができたと打ち明けられた。
きっとひなのことだから、言うのにすげえ勇気を振り絞ったんだろうな…


…そんなところも、可愛いなんて思えてくる。



「いいんだよひな、こいつの心配なんて」

「なんだと!?」

「まあまあ、2人とも…!」



あーもう、マジむかつく!
なんなんだよ森野のやつ!
ぜんっぜん可愛くねえ!!(ひなとは大違いだ!)

……こっちはいろいろと悩んで大変だっつーのに。



「あ、もう分かれ道じゃん」

「ほんとだ」



そこは、右に行くと森野んちで、左に行くと俺とひなんちがあるという分かれ道だった。

いつも俺たちは、ここで別れる事になる。



「さっさと帰れ帰れー」

「なにその言い方。腹立つな」

「早く帰ってくださーい」

「しかも棒読み!」

「じゃあなんて言われたいんだよお前は」

「あーもういいよ、丸井には期待しません」

「あっそ」

「じゃあね、ひな」

「うん、また明日ねゆうちゃん!」


そして森野と別れる。
つーかアイツ、俺には何も言わずに帰って行きやがった…!(ますますムカつく!)

………それにしても。


やっぱ…………気が重い。
俺はちゃんとひなを応援してやれるのだろうか。



「ひな」

「なあに?」

「ほんとに、赤也が好きなんだよな?」

「………うん」

「そ、か。だったらいいけど」

「なんかごめんね、巻き込んじゃって」

「いや、別に構わないし。俺たちの仲だろい?」



なんて、少し強がってみるけど。
やっぱり俺は、ひなのことが好きなんだ。



「うん!ありがとうブンちゃん」



諦めようと思う。

……でも、お前のこの笑顔を見たら、胸がズキンと痛んで。
今頃後悔したって…もう遅いのに。

俺は一体どうしたらいいんだよ…







(どうしたら、忘れられる?)






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