「あ、ブンちゃんからメール………」



星がきらきらと輝く夜、私は部屋から夜空を眺めていた。
………そして、そんなときに彼からメールが届く。



「コンビニ、に行こう……?」



今、何時だと思ってるのかな?
……なんて考えてみるけど、そんなことを考えているひまはない。
どうやらもう、家の近くで待っているみたいだから。
私は急いでパジャマの上にカーディガンを羽織り、彼の元へ向かった。



「ひなー!」

「ブンちゃん……っ」

「急に呼び出しちまって悪りぃなー」

「ううん、いいの」



ブンちゃんは私の大切なお友達……というか、昔から一緒にいる幼なじみだった。
いつも隣にいてくれて、私を守ってくれる。
……そんな存在。

コンビニまでは近いから、二人で歩いていった。



「俺さぁ、腹減っちまってよ……」

「えっ、夕飯は?」

「食った。でも腹減った」

「…………なにそれ」

「まっ、仕方ねぇだろい?育ち盛りなんだしー」



そう言って、腕を頭の後ろで組む彼。
やっぱり学校でも女子に人気なだけあって、どんなしぐさも爽やかに見えてしまう。(なんでブンちゃんはこんなにもかっこいいんだろう……)

コンビニにようやく着いたら、彼はお菓子コーナーに釘付けになった。



「あの、あんまり夜食べちゃうと太るよ……?」

「俺は毎日テニスで動いてんだからいいの!」

「…………そういうものかなあ」



私は食べると食べただけ太るのに、………そんなことを言ったら、



「お前はもう少し食ったほうがいいんじゃね?」



なんて、女の子に対して失礼なことを言ってくるブンちゃん。



「それは太れってことなの?」

「っ!!い、いや、そーじゃなくて……」

「ブンちゃんの馬鹿ー!」

「いて!叩くことねぇだろいひな!!」

「だってだってっ」

「あれ、もしかして先輩?」

「「……………え?」」



二人でじゃれあっていたところに、突然かかる声。
いきなりのことでびっくりして、つい彼の後ろに隠れてしまった。



「こんな所で会うなんて奇遇っスね!」

「なんだよ、お前かよ」

「あっ、ひでー丸井先輩!せっかく可愛い後輩に会えたっていうのに」

「誰が可愛い後輩だ、誰が!」



だれ………?
誰なの、この人?
ブンちゃんの後輩ってことは、もしかしてテニス部の子………?



「っておい、いつまで俺の後ろでしがみついてんだよ」

「あ、ごめん……」

「……はあ、まったく世話の焼ける…こいつは俺のテニス部の後輩で、変な奴じゃねえよ。だから安心して大丈夫だって」

「2年の切原赤也っス!よろしく!」

「あ、えっと、ブンちゃんの幼なじみの八神ひなです」



よろしく、と言った赤也くんの笑顔に、少し体温があがる。
なんだか、すごくきらきらして見えて。
つい見入ってしまった。



「悪りぃな赤也、こいつ人見知りなんだよ」

「人見知り?」

「そ。だから初めて会った人と喋るのが苦手みたいでさ。何回か話した奴なら大丈夫らしいけど」

「へー………」



うわああ、なんかまじまじと見られてる気がする……!!

そう感じた私は、もう一度ブンちゃんの後ろに隠れる。
すると赤也くんは近付いてきて、私の頭をぽんぽんと叩いた。
いきなりのことに、「うわあっ」なんて情けない声を出してしまって、恥ずかしさに俯く。



「可愛いっスね!八神先輩!」

「…………えっ、そ、そんなことは……」

「こら、あんまひなをいじめんなよ」

「いじめてないし!」

「じゃあ触るな」

「えー!触るくらい別にいいじゃないスか!丸井先輩の彼女じゃないんでしょ?」

「…………そ、それはそうだけど。でも駄目なもんは駄目!!」

「ケチー」

「んだと!?このワカメ!」

「ぎゃー先輩が怒った!!!」



本当に仲がいいんだなあ、と感じる。
ブンちゃんには弟がいっぱいいるし、だから赤也くんのことも弟みたいに可愛がってるんだろう。

それにしても赤也くん、元気がいいなあ……(明るいから友達とかたくさんいそう)



「助けて下さいよ八神先輩ー!」

「えっ、わ……っ!」



急に、私の後ろに回ってブンちゃんから隠れようとする彼。
本当にいきなりだったから、心臓がドキドキとして、みんなに聞こえるんじゃないかと思うくらいにうるさくなった。

顔も、なんだか熱くなってきたような気がする。



「てめっ、ひなに触んなっつってんだろい!」

「うわー!!」

「や、やめなよ二人とも、ここコンビニだよ……?」

「……ちっ」

「ふう、助かったぜ…!」



やっと静かになる二人。
もう、ブンちゃんてばコンビニに来た目的をすっかり忘れちゃってるよ…

それに、私はなんだか変な感じがするし…


だって、さっきからドキドキが………………止まらないの。

なんで、かな?
胸のあたりが、ちょっと変で……



どうして?







(こんなこと、初めてかもしれない)






:)戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -