「はいっ、どーぞ!」 「わあ、ありがとうございます!」 私の部屋で嬉しそうに頬を染める私の後輩兼彼氏、長太郎。 実はこの人、2月14日…もといバレンタインデーが誕生日なのです。 せっかく2つ重なったんだからケーキでも焼いてお祝いしようと思ったのに、当日は部活があるっていうから駄目で、結局翌日の2月15日になりました。 …で、冒頭の台詞に戻るわけです。 テーブルの上に手作りチョコレートケーキを置いて、お皿に取り分けたあと彼に渡す。 きっと味は大丈夫………のはず! 練習の時よりうまくスポンジも焼けたし、ホイップクリームも完璧なはずだし! …そして長太郎が一口、ぱくり。 「……どう?」 「すごく美味しいです!特にこのクリームとか」 「よかったあ!」 ほっと胸を撫で下ろして、テーブルに突っ伏す私。 ああもう、甘いもの苦手とか言われたらどうしようかと思ったあああ! 長太郎ってお金持ちらしいし、きっとケーキなんて高くてすっごく美味しいものを食べてるに違いない。 ……そうなると、私みたいな素人の手作りケーキの味なんてたかが知れてるし、比べられたらどうしようかと思った。 でも、幸せそうにもぐもぐ食べてる長太郎の姿を見る限り、どうやら好みの味だったらしい。 「先輩って本当に料理上手ですね」 「そんな、ケーキぐらいで大袈裟だよ」 「いえ、前に作ってもらったお弁当もヘルシーで美味しかったです」 「あ、ありがと……」 まさか覚えててくれたなんて。 いや、忘れるわけないか。 だって彼女が頑張って作ったお弁当だもの。(自分で言うのもあれだけど) 「先輩が俺にずっと料理を作ってくれたらいいのに…」 「え!?」 「……なんて、思っちゃ駄目ですか?」 「う、ううん、いいよ?」 一生、長太郎が私のことを好きでいてくれるならね。 1日遅れのバレンタイン (プロポーズみたいな言葉に惑わされた) 110215 |