そしていよいよ、カルーアさんのお孫さんと会う日になった。
場所はとある高級レストラン。
先に着いた俺は、1人で静かに座っていた。
やがて、1人の女性が現れる。
「お待たせしてごめんなさい、沢田さん」
「………いえ、時間通りですよ」
タイトなロングドレスを身にまとった彼女は………なぜだろう、とても魅力的に見えた。
椅子に座って、視線を合わせる。
「自己紹介がまだでしたね、ルイと申します」
「沢田綱吉、です」
「おじいさまからよくお話は聞いています」
ふふ、と微笑む姿はそう、まるで花のようで。
やはり笑顔もどことなくアイツに似ている気がした。
…………当たり前か、顔立ちがそっくりなのだから。
じっと魅入っていたら、ルイと名乗った彼女は首をかしげた。
慌てて視線を逸らして、笑顔を取り繕う。
「なにかついてます?」
「いえ、あなたがあまりに美しいので」
「あら」
なぜだろう、やはり心がざわざわする。
超直感が何かを言っているのは分かるのだけど、一体…何を……?
分からない、それがすごくもどかしい。
くそ、なんなんだ…!
------------------
「…どう?ゆり」
「クローム!」
それは私が病室でぼんやりと天井を眺めていた時のことだった。
ドアから控えめに顔を出す彼女の姿を見て、一気に心が踊る。
「わあ、久しぶり!」
「あの………これ、替えの下着とかタオルとか…」
「ありがとう、助かるよ」
そう言って紙袋を受け取った。
クロームは数日間任務に出ていたから、帰ってきてびっくりしただろう。
まさか私が倒れて入院しているなんて。
「元気そうで良かった…骸さまから入院の話を聞いてね、心配してたの」
「別に体が悪くなったわけじゃないんだし大丈夫」
「……だめ、ゆっくり休むことも大事だよ」
「ふふ、大げさだよ」
あなたは本当に心配症ね。
私が笑ってそう言えば、クロームの顔にも笑顔が戻った。
どうやらやっと安心してくれたらしい。
私は本当に大丈夫なのに……
もうすっかり元気だから。
「ねえクローム、果物食べる?」
「………?」
「骸さんがたくさん持ってきてくれたんだけど、1人じゃ食べきれなくて」
「………じゃあ、頂こう…かな…」
この時の私は、綱吉が女性と会っている最中だなんてこと………知るはずがなかった。
知らぬ間の逢瀬
(グレープフルーツとりんごと梨、どれにする?)
(えっと………りんご…)
(ふふ、了解)
← →
:)戻る