…なんで綱吉がここに?
だ、だって、私達あまり仲良くないでしょ?
なのに、なんでお見舞いに来てくれたの?
「………おい」
「は、はいっ!?」
「なに口開けてんの」
「!!!!」
どうやらびっくりし過ぎて口が開きっぱなしだったらしい。
それを指摘されて、慌てて口を閉じた。
あああああ、恥ずかしい…っ!!
さっきの絶対声が裏返ってたよおおお!
あまりの恥ずかしさに思わず頬を両手で隠す。
綱吉はというと、さっきまで骸さんが腰掛けていた椅子に座った。
……会話が続かなかったら…どうしよう。
「………で?」
「えっ!?」
「………」
「な、なんですか?」
「さっき聞いただろ。具合のこと」
「ああ!えっと、はい、お陰様でだいぶ良くなりました」
「……ふうん」
ふうん、ってそれだけですか。
もっと何かリアクションをくれてもいいんじゃ…………いや、今の彼はそういう人なんだって分かってるけど。
でも、なんだか寂しい。
無意識に今の彼と昔の彼を比較してしまう自分が憎い。
今は今、昔は昔。
昔を恋しく思ったって、時間が巻き戻るわけではないのに…
頭ではそう理解しているはずなのに、どうしてだろう?
やっぱり、恋しい。
綱吉との…生活が。
「骸、来てたの?」
「はい、少しだけ」
「そっか……」
「……骸さんとなにかあったんですか?」
「なんでそう思う?」
「お互い、避けてるみたいなので」
「!……よく見てるんだな、お前」
「ふふっ、職業柄、人と接することが多いので」
「…………」
驚いたような顔でこちらを見てくる綱吉に、私は首をかしげた。
私、変なこと言ってないよね?
「どうかしましたか?」
「橘が俺と二人で話してる時に笑ったの、初めてだと思って。いつも固いから」
「え、いや、それはボスの気のせいだと思います!」
「………だったらいいけど、」
とっさに気のせいと言ってしまったけれど、本当は気のせいじゃない。
私、今の綱吉の前だと緊張してなかなか笑うことができないみたい。
でもまさか、それを彼が気にしていただなんて…
気をつけなくちゃ。
いつも通り、笑えるように
(心がけよう…)
(私から心を開いていかなくちゃ、だよね)
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