「どうです?具合は」

「あ、はい……もう大丈夫です」



入院2日目の午後。
点滴をしてよく寝た私は、少しずつ元気を取り戻していった。
そして、病室で暇を持て余していた所に、お見舞いに来てくれた骸さん。

片手に持っていたフルーツの盛り合わせ(バスケットのやつ)を机に置き、近くにあった椅子へ腰掛ける。



「ありがとうございます、わざわざ」

「お構いなく。僕がしたくてしていることなのですから」

「…でも、忙しいでしょう?なのにすみません」

「おや、今日は妙にしおらしいですね」



しおらしい?私が?
あれ確か、おとなしくて可愛らしい様子っていう意味だったよね?



「おとなしいっていう意味で言ってるなら、一応入院している身なので認めますけど」

「可愛らしいという意味は認めない、と?」

「この私が可愛らしく見えますか?」

「そうですねえ…………可愛く見えるか見えないかは、見る人自身の好みの問題なので」

「ふふっ、なにそれ」



曖昧に言葉を濁す骸さんに、思わず笑ってしまった。

でもフォローされるということは、私には可愛さの欠片もないということだろうか。
……いや、分かってたけど!
分かってたけどね!



「冗談ですよ」

「え?」

「貴女は充分可愛らしい」

「骸さんって本当にお世辞うまいですよね」

「僕が?まさか。お世辞なんて言って何になるというんです」

「それは……うーん、確かに」



深い。深すぎる。

骸さんの言葉はひとつひとつが深いような気がする。
なにかを考えさせられるような……
…もしかしたら、言い回しがややこしいからかもしれない。
この人はよく難しい言葉を使うし。(年齢に似合わず)


ちらり、彼が窓の方へと視線を動かす。
そしてクスリと笑った後、席を立った。



「クフフ……今頃来ましたか」

「誰かが見えたんですか?」

「まあそんなところです。あまり居合わせたくないので、僕はこれで失礼しますね」

「あ、はい、来てくれてありがとうございました」

「ではまた」



そうして、彼らしい品のある動作で去っていった。

少し遅れて、まさかのあの人が入ってくる。
骸さんが言っていたのはこのことだったのだろうか。



「…………具合は」

「ボ、ボス!!?」





彼からの、お見舞い

(どどど、どうして綱吉がここに!!!?)






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