「!!!!」

「あ、起きた?」

「う、うん……」



悪夢によって起こされた私。
横では、綱吉がスーツに着替えていた。

あれ…………

どうしたんだろう。
頭がグラグラする。


何?あの夢…………
怖くて淋しくて、でもなぜか曖昧で思い出せない。



「どうした?かなり酷い顔だけど」



……いつもなら、「失礼ね!」なんて言って反抗してるはず。
だけど、今はそういう気分ではなくて。
もうろうとした頭で綱吉の言葉をスルーした。


ちらり、時計を見ると、朝の6時だった。

………そうだ、綱吉は今日、任務が入ってたんだ。
「行っちゃやだ」なんて、そんな我が儘な感情が込み上げてくる。

どうしてか、今日は行かせたくない。
離れたくない。
だって少しでも離れたら、彼が遠くに行ってしまいそうで………

………なんで今日に限ってこんな風に不安になるのだろう?



「……あ…っ!」



そうだ、夢だ!
あんな夢を見たせいで……っ!!

そう思いながら立ち上がり、着替え中の綱吉にぎゅっと抱き着いた。

不安で不安で、まるで心が押しつぶされてしまいそう。



「………ゆり…?」

「やだよ…」

「は?」

「嫌なの!夢で、綱吉が私のことを忘れて……っ」



なんであんな夢を見たのかな……
妙にリアルだったし、本当にありそうで怖い。



「馬鹿だな、そんな事あるわけないだろ」

「………でも、」

「……俺、もう行くよ?」

「あ………うん、ごめん…」



そう言うと額に、ちゅっ、とキスしてくれた綱吉。
私を安心させようとしてくれたらしい。
それだけで心がほわほわと暖かくなってくる。



「行ってくる」

「…いってらっしゃい」



どうかあの夢が正夢でありませんように………

絶対、絶対に。

あんなこと、あってはいけないのだ。





願いは一つ

(お願い、)
(無事で帰ってきますように)






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