「…………あれ?」



昼食をとる前に、ふらりと立ち寄った場所。
そこはいわゆる談話室みたいなもので、皆が共用しているところだ。
そして、テーブルの上には一冊の新聞。
どうやら誰かの読みかけらしく、無造作に置かれていた。
何故か気になって開いてあったページを眺めてみる。
そしたら、そこの一面を閉めていたのは、



「……一夜にしてワストファミリーの消息が…絶える………?」



という、不吉な報せ。
でも、すごく惹かれる内容だった。
なにに惹かれたのかは自分でもわからない。
しかし、どんどん読み進めていくうちにその理由がわかる。
このファミリー名どこかで聞いたことがあるな、と思っていたら。
これは……………綱吉を襲ったファミリーの名前だ。
まさか、こんなところでまたこの名前を目の当たりにするなんて。
心の底から憎悪が沸き上がってくる。

確かに、私はこういう血生臭い事件が四六時中怒っている世界で生きているのだから、事件が起こるたびに加害者たちを憎んだってきりがないということはわかってる。
でも。憎まずにはいられないのだ。
もう、このファミリーは壊滅してしまっているけれど。
私はこれから先、多分このファミリーのことを忘れることは出来ないと思う。
だって、最愛の人を傷付けたのだから。
それに、綱吉は記憶までもを失うはめになった。
このワストファミリーのせいで……
もう、最低としか言い表せれない。

私だって、その人たちのことをあまり悪く言えない職業だけれど。
争い事とかが絶えなくて、いつでも自分の身のことを考えなくてはいけない、マフィアの一員だけれど。
でもでも、私たちボンゴレは、そこらへんのマフィアと同じじゃない………………と思いたい。
というか、一緒にしてほしくない。(あんな、最低なやつらとは)
たとえマフィアでも、一人の人間と変わりはないんだし、中にだって悪い人といい人がいるんだもの。



…………でも。
心からありがとう、骸さん。
骸さんが私の……ううん、綱吉の仇をとってくれたんだよね?
この間の会議でのこと、本当に実行してくれたんだ。
ありがとう、ありがとう。
今はそれしか言葉にできない。
ありがとうの言葉だけじゃ、全然私の気持ちは大きすぎて伝えられないけれど。
でも、言わないよりは幾分ましだよね?
伝えたいんだ、素直な感謝の気持ちを。



「さて、と。とりあえずは昼食をとりにいかなくちゃだよね」



……今度会ったら、改めてきちんとお礼言おう。
今回のことも、甘えさせてもらったときのことも。

思えばわたし、骸さんにお世話になってばかりだ………
あ…………そのことも、謝っておいたほうがいいかなあ……?
いつもいつも、わたしが不安定なときはずっとそばから離れないでいてくれて。
安心できるような言葉をかけてくれて。
すごく、今のわたしにとって骸さんの存在は大きい。

ありがとう…………





私の代わりの、敵討ち

(そういえば綱吉のお見舞いを雲雀さんに頼んじゃったけど………今頃どうしてるかなあ…?)






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