長い長い夢を見た。
怖くて淋しい、そんな夢。
貴方が私を忘れてしまう――――…‥
私にとっては一番、恐ろしい夢だった。
それはいつも通りの朝だった。
いつも通り、朝食食べて。
いつも通り、皆が居て。
いつも通り、仕事して。
全てがいつも通り……
でも、何か違う。
心のどこかに違和感を感じる。
何かが、違うんだ。
どうしてだろう?
なに?なにが足りないの?
そう思い、ふと、周りを見渡してみる。
違う。
やっぱり違う…
……でも、なにが?
なにが違うのだろう、それすらも分からない。
しばらくきょろきょろと周りを見渡して、ようやく私はその違和感に気付いた。
そうだ……居ない、
居ないんだ。
彼が…
「つ…なよし………?」
口に出してみた事で、ようやくはっきりと分かった。
居ないんだ、綱吉が。
いつもそばにいるはずの、彼が。
何処?
何処にいるの?
そう自問してみても、無駄だった。
とめどなく感じる違和感は拭えず、私は顔を歪める。
「やだ…っ」
何処にいるの……っ!!!?
…………その時、彼は現れた。
コツ、コツ、ゆっくり近付いてくる。
そして、私のほうを一度も見ずに過ぎていった。
振り返らずに、ただゆっくりと遠退いていく。
「なんで……?」
どうして、無視するの?
どうしてどうして……
私の方を見てくれないの…………?
もしかして私の事……
忘れちゃったの…?
私は願った。
夢であることを。
これが、たちの悪い悪夢であることを……
プロローグ
(ああ、夢なら)
(一刻も早く覚めてほしい)
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