「…うぅ…っ……ひ、ぅ…っ」



部屋を飛び出してから、私は病院の外でひたすら涙を流していた。

泣いて、泣き続けて……
疲れるくらいに。



「……ひ、っく…」



なんで?
なんでなの?
こんなにあなたの事が好きなのに、どうして綱吉は私を……っ!



……そんなの、自問したって分かるわけない。

だけど、涙は止まることを知らなかった。


ああ、何故あなたは私の事を忘れてしまったの?



「…つな、よ、しぃ……っ」

「…………ゆり」



その時、後ろから急に声が掛かる。
びっくりしと慌ててそちらに振り向いた。



「む、くろ……さん……」

「…大丈夫ですか?」

「なん、で……?」



なんで来たの……?



「心配だからに決まっているでしょう」



その言葉に、もっと涙が溢れ出した。
温かい言葉、それが物凄く心に響いたから。



「……!!むくろ、さん…っ!」



そう言って彼に抱き着く私。


「ひ、っく……っ」

「よしよし……たくさん泣きなさい」

「……ぅう…っ……」

「今日は僕が、傍に居てあげますから……」



骸さんって、こんなに優しかったっけ………?

そう思いつつも彼の言葉に甘えることにした。



優しくて、心地良い。
そんな彼の腕の中。









……あれから数十分後。



「……もう大丈夫ですか?」

「はい…」



私はひとしきり泣いた後、骸さんから離れた。

目が腫れていて、とても顔なんて見せられるものじゃなかったけど、俯いていたら彼に顔を上げさせられた。



「可愛い顔が台なしですよ、ゆり」



そう言って、私の瞳に溜まった涙を指で拭い去った骸さん。



「……ありがとうございます」

「いえいえ」

「骸さんのおかげで、少し気が晴れました」

「クフフ……最愛の人に想いが届かないのなんて、既に経験済みですからね」

「え………?」



どういう、こと?





寄り添う二人

(さぁ、もう夜も遅いですし屋敷へ帰りましょうか)
(………は、い)






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