イタリアにて、大晦日のつづき



「3…2…1………あけましておめでとう!」

「おめでとうございますーっ!」



それは年明けのことだった。
大掃除も無事に終わったし、あの後綱吉もたくさん構ってあげたし………ということでボンゴレのカウントダウンパーティーに参加している私たち沢田夫婦。

今夜は無礼講だ、なんて了平さんたちや部下の人たちが騒ぐなか、私は髑髏ちゃんと端の方で大人しくしていた。
周りにはちらほらと女性の方も見える。
片手には少しの料理を盛ったお皿を持って。



「……なまえは…今日はお酒、飲まないの?」

「そうねえ、ちょっとは控えようかなって」

「……?」

「それに、綱吉は結構飲むだろうから介抱してあげなきゃだし」

「そっか……」



ちらり、綱吉の方を見れば、案の定リボーンたちとワインを飲んでいた。
絶対あれ高級。間違いない。

周りにはビールやら日本酒やら焼酎やら、一体いくつの国から集めたんだと言いたくなるようなお酒が所狭しと並んでいる。
まったく……今日のためにお金いくら使ったのかしら。

まあ、一応ボスなんだからこうやって部下と交流するのは大事なことだと思うけど!



「日本は今頃、除夜の鐘でもついてるのかな」

「そうだね……日本、懐かしい」

「たまには日本で新年迎えたいよねえ」

「うん」



ふわり、笑う彼女に私もつられて笑った。
ああ可愛い、髑髏ちゃん!

本気で頼もうかな、来年のこと。
きっと綱吉なら承諾してくれるはずだよね?

……なんて真剣に考えていたら、誰かの部下らしき男の人が近付いてきたのに気付いた。
同時に、ぷーんとお酒の匂いが漂ってくる。



「10代目夫人〜」

「もう、まだ始まったばかりなのに飲み過ぎですよ」

「へへへ…今日もお綺麗ですねえ」

「そ、そう…?ありがとうございま…」

「おい」

「わっ、綱吉?」



ぐいっ、腕を引っ張られたかと思えば、それは私の愛しい旦那さまで。
びっくりしているうちに、引き寄せられる。



「お前は向こうで飲んでろ」

「はいボスー」



綱吉の一言によって、男は去ってしまう。
……あんなにへらへらしてて大丈夫なのだろうか。
ずいぶん酔ってたみたいだけど……

ていうか、それよりもっ!



「綱吉、言い方に気をつけなさいよ!」

「は?絡まれてたから助けにきたんだろ」

「だからって、あんな言い方…!」

「うるさい」

「なにそれ…」

「お前もお前だよ、なに他の男にデレデレしてんの?」

「なっ、し、してないから!」



断じて!絶対!
デレデレなんてしてない!



「どうだか?」

「っ………もう、本当にやきもちやきなんだから」

「ふん」

「そんな顔しないでよ、せっかくいい男なのに台無し」

「………」



まったく、いつでも妬かれてたらこっちが困っちゃうよ。
つまり愛されてるってことなんだろうけどね?

綱吉は素直じゃないから、こんな些細なことでも言い争いになってしまう。
大抵が私のことを思ってのことだから、最終的には私が折れちゃうのだけど………

どうしたら、安心してくれる?
私、綱吉が思ってるよりずっと綱吉のこと愛してるんだよ?



「綱吉以外の人には絶対なびかないから安心してよ」

「……当たり前だろ」

「ふふ、私たち夫婦だもんね?」



今まで、あなた以外の人を好きになったことなんてないよ。

もちろんこれからもね、

どうか、今年も夫婦円満でいられますように。





イタリアにて、元旦

0101

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