…………熱が、出ました。 まあ実際そんなに高くはないんだけれど、でも心なしか、少しクラクラする気がする。(あくまでも気がするだけ) お母さんに言われて仕方なく学校を休むことにした私は、ベッドの中で暇を持て余していた。 目を閉じても眠れないし、羊を数えても眠れない。 一体どうすれば私は眠りにつけるのだろうか。 お母さんもお父さんも、もう会社に行っちゃっただろうし。 うぅ………本格的にひとりぼっちだ。 「はあ…………」 「随時と浮かない顔ですねえ」 「、っ!む、むくろ………!!?」 「クフフ、」 溜め息をついたところに、いきなり話しかけられたと思えば、それは骸、で。 どうして、なんで、え、だってここは、…………なんて口からしどろもどろに言葉が出てくるけれど、いずれも文章にはなっていない。 パニック状態の私とは反対に、彼は微笑(……っていうのかな、これは)を浮かべながらこちらを見据えていた。 「あ、あ、」 「相変わらず間抜けな顔ですね」 「………!」 間抜けな顔…だと……! 君、それは女の子に対して言っちゃいけない言葉じゃないかなあ。 確かに、骸と話せただけでも嬉しくて死ねる!って子はたくさんいるだろうけど、あいにく私はそうじゃない。 罵られたって嬉しくないんだから! 全然嬉しくないんだから! 「それより、まさか風邪でも?」 「いやいやいや、それよりなんであなたがここにいるのか知りたいよ」 「そんな野暮なこと聞かないでください、なまえがいくらたっても学校に来ないからでしょう」 「………え、」 「仕方なく、です。仕方なく」 「む……なにそれ」 「クフフ、一応君は僕の彼女ですからね、心配してやったんですよ。まったく、感謝してほしいくらいだ」 上から目線なところに少しムッときたけれど、それは普段とあまり変わらないことだから気にしないでおいた。 こんな奴でも、一応心配してくれたらしい。 そんなところに少しだけときめいてしまったのは、内緒だけれど。(だって言ったらきっと、からかわれるというか、言葉攻めにあう気がするから) 「あ………ありがと、う、一応」 「一応ってなんですか」 「一応は一応です」 「………可愛くないですね、素直に感謝しておけばいいものを、」 「可愛くなくて悪かったわね」 「クフフ………そんなところも好きですよ、」 いつも通りの少しおかしい笑い方で、笑う骸。 私から見ても、やっぱり骸はかっこいいと思う。 どうして私みたいな平凡な人間がこの人と付き合えているのか、本当に不思議だ。 骸がどこから来たのかとか、どう暮らしてきたのかとか、これから何をするつもりなのか、とかは知ってる。 でも、それを知ってもなお、私が骸を好きという事実は変わらない、から。 「寝ていなさい」 ふいに、話しかけられる。 私が起き上がろうとしたら、彼に押さえつけられた。 「な、んで……大丈夫だもん、」 「まだ額が熱い。嘘をつくと容赦しませんよ」 「…………」 …もう、微熱なのに。 そう言っても、骸は押さえつける力を弱めなかった。 「ボタンを外して、熱をはかりなさい」 「って言ってるそばから外してるじゃん、うわああ、や、め……!外しすぎだよ!」 「はい?」 「とぼけるな!」 本当なら少し開けるくらいでいいはずなのに、いつのまにかボタンを3こ、…いや4こ?くらい外されている私。 明らかにおかしいよね、っていうかわざとだろ、これ! 「別になまえの下着くらい、」 「とりあえず問題発言はやめてください」 「……まあいい、ほら、はかりなさい」 「まったく………」 そんなやりとりをしながら、私は体温計を受け取る。(油断も隙もないな) そして…………はかった、ら。 「38度……………あれ?」 「おや、それのどこが微熱なんですかねえ?」 「ひっ………!」 「今日は一日中大人しくしていること、分かりましたか」 にこり、と恐ろしいオーラと共に微笑まれる。 私はそれを見て、震えあがった。 熱が出ました (どうやら看病してくれるらしいです、) 0330 -------------- 紳士な骸さんを書こうとしたら僅かに変態っぽくなってしまったという……^p^ ちなみに、骸は黒曜中に通っている設定です 戻る |