「一体何なんだろうなー、俺達に話って」



もう人の目立たなくなった放課後の廊下を、てくてくと現在進行系で歩いている、私たち三人。(ちなみに私とツナくんと武くんね)
…なんだか異様なメンバーだ。
そして、いつものメンバーに足りないあの人はというと、校門で待ってます十代目!とか言って走り去ってしまった。



「どうせこの間のテストのことだろ」

「あー、やっぱそうか!」

「私、補習はやだなあ……」

「じゃあお前もっと頭良くなれよ」

「むむむ、無茶です!」

「はあ………せっかく俺が手取り足取り教えてやったっていうのに、」

「きゃ―――っ変な言い方しないでええええ!」



思わず耳を押さえる。
そしたらツナくんから変な目で見られた。(武くんは横で、ははは、なんて笑ってる)
ううう、一体何なんだ手取り足取りって。
ていうかツナくんが言うと………………変なふうに聞こえる。
テ、テスト勉強のときのことを思い出しちゃうじゃんか……!
思い出したくない過去、といっても過言ではないくらいの出来事なのに。

なんだか、恋人っていう関係になると遠慮っていうものがないよね。(ツナくんの場合、昔から遠慮がなかったけど)
いろいろと、心臓に悪すぎることがたくさんだ。



「なーに赤くなってんの?」

「うっ、あ、赤くなってないし!」

「誰が見ても赤いと言うだろうけど…………なあ山本?」

「ははっ、そうだな」

「ほら。あ、もしかして何か妙なことでも思い出した?」

「い、いや、ちが……っ」



ニヤニヤと笑い出す彼に、思わず冷や汗を流す。
こーゆーとき、本当にツナくんは人を追い詰めるのが好きだなあ、と実感させられる。
その度に私はひやひやしているというのに。



「あんまいじめんなよ、ツナ」

「ちっ………わかったよ」

「(たたた助かった……!)」

「いつか愛想尽かされるぜ?」

「……そうなったらまた惚れさせるまでだし」

「はははっ、さすがツナだな!」



ツナくんの思いがけない言葉に、どきん、と胸が高鳴る。(今日はこんなことばかりだ)
また惚れさせる、って真剣な顔で。
その言葉に思わず、きゅんとなった。
大丈夫だよツナくん、私はずっとツナくんだけだから。
………なんて、そんなこと恥ずかしくて言えないけれど。



「お、着いたぞ職員室」



武くんの言葉を合図に、職員室へ入る。
中にはちらほらと先生たちがいたりいなかったり。



「先生、」

「おー、三人共やっと来たか」

「はい………それで、一体なんの用ですか?」

「ああ、実はお前らのテストの結果のことなんだがな」



その言葉を聞いた途端、やっぱりそのことか、と肩を落とす。
予想していただけあって、少しショックは軽いけれど、やっぱりショックはショックだ。



「ちゃんとテスト勉強したのか?なんだこの点数は」

「あははは…………………すみません」

「はあ…………来週、追試を受けてもらうことになるぞ」

「え、あれ?補習じゃなかったんですか?」

「補習がいいならそれでもいいが」

「今の無し!無しです!追試がいいです!」



てっきりいつものことだから、補習だと思ってたんだけど………よかった、今回は違ったみたいだ。
……放課後の補習だと、毎日の帰りが遅くなってしまう。
私は一人暮らしだからそれだけは避けたかった。(買い物とか洗濯とかでいろいろと忙しいし、ね)



「でも、その追試で合格点取れなかったら毎日補習だからな」

「う……………は、はい」



きっと、大丈夫だ。
うん、大丈夫大丈夫。
きっと大丈夫!
追試なんて楽勝!…………………だったらいいなぁ。





みんなで追試に挑戦だ!

(死ぬ気でがんばろう…)






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