「はあ………」
綺麗に晴れた空に向かって、溜息をついてみる。
なんで数学は難しいんだろう………、なんてね。(今は数学の授業中なのです)
でも、こんなに気持ちいいほど晴れ渡っていると、一度くらいサボってみたいなあ…と思ってしまう。
そして屋上でお昼寝でもしてみたい。
あ、できればツナくんも一緒がいいな……
…………いや、でも寝顔を見られちゃう可能性が…!(それはやだ)
だって、どんな顔して寝てるのか自分ではわからないし。
もし変な顔して寝てたらどうしよう……
そんな表情を彼に見られたら最悪だ。
「この問1を…………そうだな、古閑やってみろ」
「えっ、あ、はい!」
いきなり指名されて、びくっとしながら視線を空から先生へ戻す。
どうやら、問題を解けということらしい。
先生の言葉をすばやく理解して慌てて教科書を見れば、問1はそのページの右下辺りに存在していた。
あわわっ、どうしよう……!!
なにこの問題!(話聞いてなかったからまったく分からない)
「えと、その………」
助けて、と言おうにもツナくんは私から席が遠すぎて助けを求めることすらできない。
それに、隼人くんや京子ちゃんでさえも私の席からは少しばかり遠いところにいる。
……なんてついてないの、と肩を落とし、再び問題とにらめっこした。
心なしか、遠くでツナくんがこっちを見ているような…(気がする)
そして、うっすらと笑っているような…
うう、困ってるところ見て笑うなんて酷いよ………
昔からそんな人だとは、よーくわかっていたけれど。
「……わかりませ、ん…?」
「まったく………答えは4.5だ。古閑にはまだ難しかったか?」
「は、はい」
「じゃあもう少し勉強しておけよ?」
「わかりました!」
きゃー、恥ずかしい!(こんな問題も解けないなんて……)
今度誰かに教えてもらおうかな……?
と言っても、テスト期間にはツナくんにお世話になったばっかりだし。
さすがにもう迷惑かけられないよね………なんて、昔、本人に言ってみたことがあった。
そしたら随分と怒られたっけ…
「みつきはそんなこと気にすんな」とか、「お前みたいな馬鹿に根気よく教えられんのは俺だけだろ」とか言われたり。
とにかく、先生と女子と俺以外には教わるなと言われた。(まったく意味不明だ)
ちらり、彼のほうを盗み見てみる。(あ…あくびした……)
ツナくんの席は、私よりも前のほうにあって、ここからは比較的見やすいのだ。
……というよりも、必ず視界に入る。
「………あ、」
ふいに、こちらに振り向く彼。
まさか目が合うとは思っていなかったから、びっくりして思わず声をあげてしまった。(ほんの少し、ね)
未だに絡み合う視線に、どきりと胸がはねる。
そしてツナくんは口を動かし、なにかを私に伝えようとして…………………
( バ ー カ )
ばか……バカ……馬鹿……?
あ、あれ?あれれ?
もしかして今、馬鹿にされた?(む、むかつく………!!!)
にやりと怪しげに笑う彼に、してやられた、と深く溜息をつく。
むぅ………問題が1つくらい解けなかったからって馬鹿なんて酷いよー…
「あ、そうだ。古閑と山本と沢田は放課後、俺のところまで来るように」
キーンコーンカーンコーン、と授業の終わりを告げるチャイムが鳴りひびく。
先生が去り際に言い放ったのはその言葉だった。
何事か、と三人して顔を見合わせる。
なんとなく呼ばれた理由は予想できるけど…
だって、ツナくんと武くんは補習の常連者だもん。
その人たちと一緒に私が呼ばれたということは。
つまり………多分……そういうことだ。
でも、ツナくんとだったらいいかな、なんて。(武くんもらしいけど)
授業中も考えるのは、
(彼のことばかりなのです)
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