カリカリカリ、とシャーペンでひたすら書く音がする。
ときには消しゴムで文字を消す音もして。
そんな音が聞こえるくらい、教室の中は静かだった。
(………当たり前だよね、テスト中だもん)
そう思いつつ、自分もテストの解答用紙に答えを書く。
合ってるか合ってないかは分からないけれど、とにかく今は何でもいいから解答を書かなくては………!
ああ、今日の理科がほとんど選択問題で本当によかったと思う。
これなら解答を埋めとけばもしかしたら正解してるかもしれないしね。(確率は低いけど)
確か、この教科で今回のテストは終わりだったはずだ。
……ってことは、
やった、これで解放されるーっ!!
……って、そんな喜びに浸ってる場合じゃないよ私ってば!
「みつきー、どうしたんだ?」
「あ……武、くん」
そして終了後。
さきほどのテストで力を使い果たして机に突っ伏していた私に、話しかけてくる武くん。
周りのクラスメートがちらほらと教室から出ていっているところから見て、もうHRは終わってるみたいだ。(……えっ、いつのまに!)
「やっぱりテスト駄目だあー」
「大丈夫だって、俺もだから!」
「(どこらへんが大丈夫なんだろう)」
「つーか、俺多分もう補習決定だなー」
「私もだったらどうしよう…」
またツナくんに怒られちゃうよ。
ていうか、ツナくんだって赤点わざと取るくせに、なんで私が赤点取ると怒るんだろう…まるでお母さんみたいだ。(隼人くんもお母さんみたいに怒るけど)
考えてみれば、私いろんな人に怒られてばっかりだ………!!
「もし両方とも補習だったら、二人で力合わせて勉強しような!」
「そうだね、がんばろ――!」
「何言ってんの。馬鹿二人だけだと勉強が進まないだろ」
ニカッと笑う武くんに賛成したところに、あの彼が後ろから迫り来る。
振り向くとやっぱり…………ツナくんだ。
ものすごいオーラを発しているツナくんに、思わず怯んだ。
ああそうか、周りに誰もいないからこんなに素を出していられるのか……
「ど、どうしたのツナくん……?」
「べ つ に ?」
「(ひいいいい!)なんか怒ってる?」
「怒ってないけど」
じゃあなんでそんなに言い方が刺々しいのーっ!!
ああもう、ツナくんは気分屋(……っていうかきまぐれ?)過ぎて困る。
やっぱり私が関係していることなのだろうか…
「ほら、早く帰るぞみつき!」
「あ、うんっ」
「山本も早く部活に行け!」
「おう!じゃーなっ」
あーもう、今日は機嫌直りそうにないなぁ…
どうやって直そうか…?
悩むところです。
嫉妬は日常茶飯事です
(ツナくーん!)
(なに)
(いいこいいこ!)
(………え?)
(…これで機嫌直った?)
(…バーカ!!!)
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