「あなた、見つけたわよスーツケース!」

「でかした奈々!」



それはドアが開いて、奈々さんとお母さんが飛び出してきたあとのこと。
ぎゅううううう。
私の目の前では、なぜか沢田ご夫妻の熱い抱擁が繰り広げられていた。(ほんとラブラブだな………)

沢田夫妻の後ろからひょっこり顔を出した私のお母さんに、視線を向ける。



「あら、みつき来てたの?」

「来てたの?じゃないよ……家に帰ったらお母さんがいなかったから、迎えに来たんだよ」

「ふふ、ありがとー!」



のんきにありがとうって言ってる場合か。
そう突っ込みたかったけれど、突っ込む前にお母さんが話し出してしまった。



「みつきもいることだしちょうどいいわね、」

「なにが?」

「では発表します!」



私の言葉をスルーして話を続けるお母さんに、頭が痛くなる。
ああもうこの人は…!
いつまでも子供の心を忘れないというか、やんちゃというか、ノリがいいというか………
まあ要約してみれば子供っぽいということなのだけど。

ちゃんと理解もあるし、オンオフ使い分けるし、それがお母さんのいいところだから私は何も言わないけどね。



「私たち古閑夫妻と沢田夫妻は休日を利用して一泊2日の旅行に行くことにしましたあああ!はい拍手ー!」

「「ええええ!」」



思わずツナくんと叫び声が被る。
少し顔を見合わせて、それからまたお母さんたちに視線を戻した。

いきなりなんなの、旅行って。
あ……だから奈々さんがスーツケースの話を……ってそうじゃなくて!
話が急すぎない!?
だって今日月曜日だよ、休日って言ったら5日後にはもう旅行だよね!?

……まあ確かにお母さんたちは忙しくて何年も旅行なんてしてないだろうし…………
たまには羽を伸ばして遠くに行くのもいいかもしれないけど……



「私たちが留守の間はみつきがお母さん、ツーくんがお父さんね。子供たちを任せたわよ」

「えええええ……」

「よろしくね!」



あからさまに嫌な顔をしたツナくんに、お母さんは笑顔でやり過ごした。
これはもう流石としか言えない…



「ちなみにみつきは土日の間ツーくんちで寝泊まりするのよ?いろいろと用意しておいてね」

「え……っ!!!!」



いやそんなこと急に言われても!





重大…?発表

(子守りは好きだけど……まさか寝泊まりするなんて…!)






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