「ただいまー」
「おかえりみつき」
いつも通りツナくんと別れて帰宅すると、お父さんが出迎えてくれた。
やっぱり、家に帰った時に親がいるのって幸せ。
私の家庭は普通じゃないから、他の人から見たら当たり前なことも、私にとっては幸せなことなのだ。
「あれ?お母さんは?」
「奈々さんち」
「ええっ?美味しいご飯作るから早く帰って来てって言ったのはお母さんなのにー!」
「まあまあ落ち着いて。大事な用があったんだから」
「大事な用……」
「もう終わってるだろうから迎えに行っておいで」
「…はーい」
そうしてまた玄関を出る。
目指すのはツナくんちだ。
こうなったら早くお母さんを迎えに行って、ご飯作ってもらおう。
今日は追試をしてきたから余計にお腹空いちゃったんだよね…えへ。
それに久しぶりに一家団欒で食卓が囲めるんだもん!
お母さんにもお父さんにも、たくさん話したいことはあるしね。
てくてく、ツナくんちへの道を歩く。
近いからすぐに着いてしまったけれど、中ではなにやら騒いでいるみたいだった。(外まで声が聞こえてくる……)
ぴんぽーん。
「はい……………って、ああ、お前か」
「ツナくん、私んちのお母さんいるでしょ?」
「確かにいるけど……まあいいや、中入れよ」
そう言って中へと通される。
彼の表情が引きつったのが少し気になったけど………
うーん……何があったんだろう…
とりあえず、おじゃましますなんて言いながら居間へと行けば、騒ぎの原因が一目瞭然で分かった。
「ぎゃははははは!!」
「おっ、みつきちゃんか!」
あれ……?
なにこれ見間違い?
だってランボくんが、何故か家光さんと一緒に遊んでいる。
それも大声出して笑いながら……(だからうるさかったのか)
ってなんで家光さん??
いつのまに帰ってきたの??
疑問ばかりが頭をよぎっていると、家光さんにがしっと肩を組まれた。
「い、家光さ………ひゃあ!」
「大きくなったなあ」
「もう……いつ帰ってきたんですか?」
「今日!」
ニカッと太陽のような笑顔を見せる家光さん。
それにつられてへらりと笑ったら、ぐいっ、ツナくんに引き剥がされた。
「父さん、くっつきすぎだろ!」
「ちぇっ、なんだよツナー、一丁前にやきもちか?」
「………殴るぞこのクソ親父」
ああもう、ツナくんてば周りに奈々さんがいないからって素を出して……!
「……あれ?そういえば奈々さんと私のお母さんは?」
「…ああ、それなら今物置で―――――――……」
ツナくんが何かを言いかけた時のことだった。
ガチャッ、勢いよくドアが開いたのは。
賑やかさの増す彼の家
(家光さんの帰宅により、賑やかな家がもっと賑やかになったみたいです)
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