「だーかーらー!!これはここに代入するって言っただろ!」

「ひいいい……!!」



どうして私はこんなにも馬鹿なのだろうか。
これは自分でも呆れるくらいに酷すぎる。

どうして……?
なんでここに代入しなくちゃいけないの…?
ああもう数学分からないーっ!!
別に数学なんて分からなくても生きていけるよね、それに日常生活に役立つのはせいぜい小学校の算数までだと私は思います!
だって平方根とか円の方程式とか生きていく上で全然必要ないじゃんかあ…!

酷いよツナくんスパルタすぎるってー!



「みつきはほんと数学駄目なのな」

「うう……そういう武くんだって補習の常連なくせに…」

「ははっ、まあな」

「でも山本は集中すれば結構なんでも出来るんだぞ」

「………それは私がいくら集中してもこの問題を解けなかったことに対しての嫌味ですかツナくん」

「よく分かったな」

「なんでこの人こんなに堂々としてるの…!もういいよ隼人くんに教えてもらうから!」

「は、俺の教え方じゃ不満だってのかよ」

「だってツナくん恐いもん」

「それを言うなら獄寺くんだって恐いだろ」

「え、ちょっ、十代目…!!?」



驚く隼人くんをよそに、私とツナくんは睨み合う。
だってすぐに怒るんだもん。
まあそれは私が数学を全くできないせいもあるだろうから何も言えないけれど!
でも私ができないのは大体数学だけなんだよ!?
他はそこそこ点数取れてるし………
なのに……
なのに……酷いよ…!



「………で、この3Xはどこに代入すればいいの?」

「…ここだろ」

「ツ………ツナくんには聞いてないもん」

「へえ、教えて貰ってる分際でそんな口きくんだ?」

「う……!」



にやり、という表現がぴったりと当てはまるような表情で見てくる彼。
まさかの正当な理由に、私は恨めしげに視線を送ることしかできなかった。

そして不意に近付いてきたツナくんに驚く暇もなく、耳元で囁かれる。



(あとで覚えてろよ、)



すぐに離れていったものの、彼は至極楽しそうな顔でにやにやしていた。
あとで覚えてろよ………ってまさか後で仕返しされるとかそんなパターンですか!?
うわああやだよ恐いよ!

切実に誰か助けて………!



「なんだ?お前真っ赤だぜ」

「う、あ、な、なんでもないよ隼人くん!」





楽しい、お勉強?

(全くはかどりません)






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