Panic Days! | ナノ


▼ Mission.1


朝から爆睡した。登校時に柳に会って、幸村に興味持たれてるとか忠告もらってジャッカルにタックルかましたり全力疾走したりで、体力まったくないのに朝の時点で全部使い切ってだから朝のSHR前から爆睡した。2時間目終わりころだと思うけれど、ふと起きてみると教師が黒板に英語の羅列を書いていた。うげ。英語かよ。まあいいや。

唯一心配なのは門馬ちゃんだ。前の席の子の肩を叩いて朝のSHRのときの門馬ちゃんの様子を聞いてみた。苦笑して「門馬先生怒ってたよ」とさらりと。うっわああああ絶対ブチギレだぜ門馬ちゃん。また呼びだし食らうんじゃねえの私。

──キーンコーン──
チャイムが鳴った。よし休み時間。
ハニーはまだ来てな「佳奈」ハニいいいい!


「ハニー!愛しのマイハニー!!おはよういつ来たの起こしてくれてよかったのに!」
「だって気持ちよさそうな顔して寝てたから。起こせなかった」
「そんな優しいハニーが大好きだ」
「携帯、鳴ってたよ」


チャイムが鳴ったと同時に生徒は賑わい始める。ハニーの姿がないかと探すと、見付ける前にハニーが私の前に!!ハニー今日も可愛いなあ!
つい、とハニーが指を差したのは机の上に放置したままの携帯。あれ、私マナーモードしてなかったけ。じゃあ曲流れちゃったか。まあいいや恥ずかしいような曲じゃないし。ハニーに言われて携帯を開くと新着メール1件の文字。だれだろう。


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From.××@○○.△△
Sub.柳蓮二
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ジャッカルからアドレスを聞いた
。お前に話しがある。昼休みにコ
ート近くに来てくれ。

-END-
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知らないひとからのメール。なにこれ。なにこれなにこれ!余りにも驚いてハニーに携帯を押し付けた。うわあだって参謀からだってよ。ちょ、ジャッカル教えたのか。というか柳って私のアドレス知らないんだ。もう調査済みかと思ってた。

あまりにも驚いて挙動不審になった私とは対照的にハニーはすごい冷静で「ジャッカルに聞いてみれば」と提案して、私に携帯を衝き返した。おお。その冷静ささすがハニーだぜ頼りになる。ハニーの助言を受けて早速ジャッカルにメールしてみると3分後に返信がきて、なんと本当に柳に教えたらしい。
なに勝手に教えてくれちゃってんの。まあ構わないけど。


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To.柳
Sub.re:柳蓮二
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びっくりしたじゃんもー。
昼練とかは?

-END-
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From.柳
Sub.re:re:柳蓮二
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今日は休みだ。
頼んだぞ藤崎。

-END-
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これは行くこと決定ですか。
無言で受信メールをハニーに見せると艶やかな黒髪を垂らして携帯を見るハニー。たった3通の遣り取りだけどハニーは受信メールを見ただけで柳眉を顰めてしまった。おやおやお嬢さん。美しい顔が台無しですぞ。


「…昼練ないの?」
「らしいね。ねーこれって行くべきかなー」
「せっかくだから行ってあげれば?」
「じゃハニー、一緒に行こうか」


だって昨日今日ってハニーに会える時間少ない。昨日はハニー休みだったから会えなかったし今日は私が寝てたせいか、ハニーが遅刻してきたらか一緒にいれる時間が少ないし、昼休みまで一緒にいれないってなるとホントに時間減っちゃう。えーやだなー。

そう思ってハニーに言ってみるとハニーの表情は一瞬にして憂う。瞼は伏せられ黒曜の瞳は机を見つめる。眉尻が下がり悲しげになる表情は俯き、黒髪に隠れた。けれどそれはほんの一瞬のことですぐに顔を上げたハニーはいたって普通の、いつもみたいな凛とした風貌で。


「テニス部に関わりたくないめんどくさい。それに職員室行かなきゃ」
「え、なんで?」
「休んだ分の課題出た」
「うわお。ハニーがんば☆」
「黙れ」


うんうんこれがハニー節。
でも、一瞬だけ垣間見えた見たことのない悲しそうな表情が、私の頭から離れずにいた。







「というわけで優しい優しい佳奈ちゃんがハニーの命令で来てあげたわけだ」


結局あのあといやだなーと散々ぼやいてたら最終的にハニーから行けと命令が下された。それ以上ぼやくとハニーの逆鱗に触れそうだったから私は昼休み、ハニーとさっさとお弁当を食べてテニスコート付近に来たわけだ。柳のメールにあった通りに本当に昼練がない。いつも練習してんのに。練習がないからかファンも当然いないわけで。まあそれを狙って柳はこの場所にしたんだろうけど。


「で、話ってなに、参謀」
「お前に会いたいと言う奴がいてな」
「へえ。そりゃ珍しい。……もしかして!」
「精市ではない」
「なら良かった」


ほっと胸を撫でおろす。でも私に会いたいひとってほんとに誰だろ。物珍しいひともいるもんだ。校舎からあまり見えない場所に移動して柳を見ると、ちらりと私の後ろに目を向ける。振り向くと、そこには──。

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