指導員の南野 秀一さんは穏やかな笑顔のくせに言葉がきっついです。

「こんなことも知らないんですか。手間がかかりますね」

「あんな仕事も数分で仕上げられないんですか。
仕方ありません。俺がします。
まったく、二度手間ですね」

「貴女の最終学歴はたしか…俺より上だった気がしますけど…」

とまぁこんな感じ。

『言葉が酷い!』と言おうにも、私自身が責められてるわけじゃないから言えない。
でもなんとなくキツい。
そんな微妙なライン。

しかも何故だろう。
一緒に指導受けてる幼なじみには普通に優しいんだよ。男と男なのに。

まさか南野さんってそんな趣味が

「今なに考えてます?」

「いえ別に!」

穏やかな笑顔が怖いから。

いつも以上に怖いから。

「早く終わらせて下さいよ希紗」

極めつけはこれ。

なんで初対面なのに名前で呼び捨てさてれんの。ありえないよね。

そうは思っても言えないのが下っ端の悲しい所。

勤めて一週間だけどすでにもう鬱っぽいよこんちくしょう。

更に南野さんは指導員だからという理由でデスクまで私の隣。
真横の席から姑のように四六時中口うるさくダメ出しされる。

もちろん幼なじみも南野さんの隣だけどそんな厳しいこと言われてない(気がする)

やっぱり南野さんってそんな趣味が

「これもお願いします」

どっさりと置かれた大量の書類。

鬼か。泣くぞ、本気で。


隣の席の姑くん
これが社会人の洗礼というものだろうか。
長く勤めてる人にとってはまだ甘いとか言われそうだが
ぶっちゃけそんなの関係なくきつい




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