私のケータイに新着メールがきていたことに気づいたのは、家に帰りついてからだった。

『そういえば』と思いながらメールを開いて読み、内容に対しての返信をする。

そんなやりとりを続けながら明日の準備やお風呂、まったりとした寛ぎの時間などをしていると
私も相手も徐々に打ち解けてきて楽しいメールになった。

『良かったら会わない?』

話が最高潮に達した時、やってきたメール内容。
私は『やっぱり来たか』と小さく呟いた。
そして親指をキーの上に滑らせ

『恥ずかしいのでそれはちょっと…』

と、送信した。

『恥ずかしいなんて可愛いね(^^)
大丈夫だよ、会うのは昼間だし友達も連れてきていいよ♪』

『仕事も忙しくて…
ほんと、ごめんなさいm(_ _)m』

『たしか土、日と祝日は休みだったよね。
じゃあ今週の日曜日なら大丈夫かな??』

「うわー…会う気満々だよ…」

こんな時きっぱり断りきれない自分が憎い。
グイグイと会う為の段取りを決めていく彼に私は結局その押しに負け

『日曜日なら大丈夫です』

と送ってしまった。

同時に後悔してため息をつく。

「…蔵馬さんは土曜日に来て日曜日の昼か夕方に帰るだろうし…
あ、じゃあ昼間会えない」

追記として『日曜日は夜しか空いてませんでした(汗)』と送る。しばらくして相手からメールが届き

『分かったよ(^O^)
じゃあ日曜日の夜で。友達連れてきても良いからね。
そろそろおやすみ(-.-)zzZ』

と書いていて、すぐに返信をしてケータイを閉じた。

「……………」

なんだろう。
すっごく蔵馬さんに罪悪感を感じるけど…

「…別に関係ないよね。寝よ寝よ」

と、もぞもぞとベッドに入ってひとり眠った…




















少し遡って。
希紗が家に帰っていってちょうどすれ違うように、蔵馬は幽助の屋台にやってきた。
久しぶりに揃った4人に蔵馬はしばらく楽しげに談笑をしていると、幽助が少し呆れた口調と表情で

「蔵馬よぉ…」

「どうしたんだい?幽助」

「まだ希紗に告ってねぇのかよ」

「…そうだね。
もう少しこの焦れったい関係でいたいんだ。
あわよくば俺が希紗を好きなんだと気付いて意識して欲しいなって思ってさ」

「そんな細かい策練るなら希紗さんじゃなくて別の女にした方がいいぜぇ蔵馬」

「桑原くん?」

苦笑する桑原に蔵馬が不思議そうに眉を寄せる。
幽助もタバコを吹かしながら

「そーそー。
さっき希紗が来たんだけどよ、会社の同僚の紹介で男とメル友になるんだとよ」

「……………」

「興味はないけど付き合いで始めたらしいぜ。
それにメル友ぐらいならいいかなって思ってるらしい」

「……………」

「希紗は興味なくても付き合いは良い方だし、何事も経験がモットーの奴だからな。
男が付き合って欲しいなんて言ってきたら『友達からなら』とか言って付き合い始めるかもしれねぇぞ?」

「…へぇ、つまり先日のことで懲りてないってことだな。希紗は」

口元に笑みはあるものの、目は据わっていてまるで笑えてない。
そんな蔵馬に『日下部のこと根に持ってんならさっさと告れよ』と幽助は内心思うが口には出さない。

「土曜日に泊まりに行く約束してるんですよ。
…まあ、俺からの一方的な申し出ですが」

「ゲッそこまでされて気持ちに気づかない希紗さんもすげぇな」

「その時に改めて釘をさしておくよ。
今の焦れったい関係は好きだけど、他に譲る気はサラサラありませんから」


策謀の上司
「お前ら…いい加減話を戻すぞ」
「あ、すみません飛影。
魔界からの使いで来たんでしたよね」
「……………」




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