職場のお昼休み。
職場で出来た友人達と食堂で昼食をとっていた。
皆同期だから話も合うし弾む。
「あ、希紗ケータイ変えた?」
「うん。前のやつ落としちゃったし…
古かったからそろそろ変え時かなぁ〜って思って」
「メアドは変えないの?」
「面倒だからね」
「ふーん。ああそういえば、この間デパートで希紗と幼なじみの人と一緒にいると見かけたんだけど…」
「あーあれね」
「やっぱ付き合ってんの?」
「あいつはただの腐れ縁ー
そもそも彼女いるし。デパートは単にあいつの彼女に贈る指輪を一緒に探してやっただけ」
「えーいいなぁー優しい彼氏ー」
「本性知らないから彼女の方可哀想だよねぇ」
「そんなこと言うな」
「希紗はどうなの?好きな人とか出来た?」
「(あ、そっか。日下部さんのことは蔵馬さん以外知らないんだっけ)」
「希紗ー?」
「んー、いない…かな」
「やっぱねぇ希紗って男勝りだし、いっつも昼ファーストフードか食堂のやつだし」
「ご飯は関係ないと思いますが」
「ちゃんと自分の弁当ぐらい作ってきなよー」
「えーなんで不味い自分の料理を食べる為に早起きしなきゃいけないの。
確かに昼食代は浮くけど」
「希紗料理苦手だもんねー」
ケラケラ笑う友人達。
「でもやっぱ家庭的な人ってモテるよー」
「だよねー。
あーあ、南野さんもやっぱ家庭的な人が好きなのかなぁ」
「ねぇどうなの?希紗」
「え、知らないよそんなの」
「えー!?南野さん希紗の指導員なのに!?」
「いや、そうだけど…」
「まさか南野さんのことなにも知らないの?」
「なにもって…具体的に?」
「誕生日とか、日頃なにしてるかとか…」
「あーうん。知らないね」
「ちょっそれすんごい損してる!だって希紗社内でナンバーワンの人気をもつ南野さんを指導員にしてるのに!」
「いや、だって…」
「南野さんこの会社の社長の息子さんみたいよ?」
「えっ知らなかった」
「希紗ー!!」
「ちょっ絞ま!首絞まま!」
「あんたなにしに会社来てんの!」
「仕事」
「そうだけど!もっと南野さんと仲良くしようと思わないの!?
お弁当でも作って一緒に食べようとかっ
なにかプレゼントしようかな、とか!」
「えー!?冗談やめてよ。
只でさえ日頃からつきっきりで姑の如くうるさい小言言われてるのに!昼休みぐらい一息つかせてよー」
「それはあんたの仕事が遅いせいで、南野さんは悪くない!」
「ひど」
「もしかして南野さんに興味ないの?」
「んー…分かんないけど、みんなが言うみたいなことしないってことは…そうかもね」
「男見る目ないなぁ
いつか損するよー?」
『ねー?』
「ほっとけ」
「じゃあさ、私達の為に色々聞いてきてよ」
「なにを」
「どうせ南野さんに興味ないならさ、誕生日とか聞いて教えて?」
「自分で聞きなよ」
「好きな人に話しかける所か近付くことすらもできない乙女心察してよ」
「やかましい」
社内ナンバーワン上司
「南野さんって誕生日いつなんですか?」
「あ、俺は……」
「後、好きな食べ物とか好きな音楽とか、休日なにしてるかとか…」
「…そのメモ紙なんです?」
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