「昼間の戦闘で思ったんだけど、セドナは海に落ちても溺れなかったわ」
「ということは…
セドナちゃんは悪魔の実の能力者じゃねぇってことかい?ナミさん」
「多分…
でもまぁ、考えたって仕方ないわ。
そのうち分かるだろうし、それにセドナが何者だろうと仲間には変わりないわ」
「そうですねナミさん!!」
「とにかく寝ましょう。
ルフィ、今日の見張り番頼むわよ?」
「おー」
「じゃあおやすみ」
「あーあ、眠てぇ」
「ゾロは四六時中寝てるでしょうが!」
ガヤガヤと船内へ入っていくみんなを見送り、ルフィは腕を伸ばして見張り台に飛んだ。
「あー、眠ぃ」
大きな欠伸をしながら海を見渡す。
一度見張り番の時、うっかり朝まで居眠りをしてしまってナミに怒られたことがあった。
それからは極力気をつけているがやはり眠いものは眠い。
ルフィがこくこくと船を漕ぎ始めた時だった。
人が登ってくる気配にルフィはハッと目を覚ました。
下を覗き込むと、セドナがゆっくりと登ってきていた。
「なんだおめぇ。
寝たんじゃねぇのか」
登りきったセドナにルフィが言う。
「What are you doing?」
「見張りしてんだよ」
「…………」
セドナはしばらく考えると、今度はゆっくり降りていき船内に戻った。
「なんだったんだ?あいつ…」
ぽかんとするルフィ。
気をとり直して今度は空を見上げた。
するとまた人が登ってくる気配に気づいた。
登ってきた人物はやはりセドナだ。
「おめぇさっきからなにしてんだ?寝ろよ」
セドナは持っていた毛布をルフィに差し出した。
「!…おめぇ…おれに持ってきたのか?」
頷いたりはしないが、ルフィはセドナの表情を見て理解した。
「ありがとな!」
毛布を受け取って体に巻きつける。
だが、一枚しかない。
「セドナはいらねぇのか?」
言葉が通じないのか答えずに降りていく。
部屋に戻るのだろうと思っていたルフィだが、セドナは部屋に向かわずウソップが直し、さらには降りやすいよう改造までしてくれたロープへと向かっていった。
「セドナ、寝ないのかー!?」
見張り台から叫ぶ。
セドナは答えず梯子を降りきり、海面を歩き始めた。
夜で黒い海となった水面には満天の星空が映っている。
白い服を着た白い肌のセドナはよく映え、星空の海面を一人楽しむように歩いていた。
「セドナも海が好きなんだな」
一人納得し、海好きという仲間に嬉しそうに『しししっ』と笑う。
そして見張り台から海面を歩いて遊ぶセドナをじっと見ていた。
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