「ええ!?女の子の名前が分かったの!?」

買い物から帰ってきたナミがゾロからの報告に声を上げた。

「セドナっつーんだとよ」

「セドナ!?なんて可愛らしい名前なんだ…!」

ナミの荷物持ちをしていたサンジは大量の荷物を抱えたままメロリン状態になる。

「よく聞き出せたわねゾロ」

「知らねぇよ。
あっちが勝手に名乗ってきたんだ。
会話が成立してないかもしれねぇし、名前かどうかも怪しいぜ」

「…………」

ナミはちらりと少女を見る。

少女はマストに乗っているカモメをのんびり見上げていた。

「…セドナ!」

そう少女に叫んでみると、振り返りそして小走りで寄ってきた。

「どうやら名前みたいね」

確信したようにナミが言う。

「セドナちゃ〜〜ん!
今日の夕飯なに食べたい?」

「?…?」

目がハートのサンジにセドナは怯えたようにおどおどする。

言葉がわからないセドナにとっては怪しい人としか見れないのかもしれない。

「なんだ?島に着いたのに食べに行かねぇのか?」

「そうよ。
新しく仲間が増えたんですもの、歓迎パーティーしなきゃ!」

















「新しい仲間に」

『カンパーイ!!』

夜、船ではいつも以上の賑わいをみせていた。

「おいお前!セドナっつー名前なんだな!」

肉を両手いっぱいに持ちながらも口の中も食べ物でいっぱいのルフィがセドナに話しかける。

「セドナ食え!飲め!
うめぇぞサンジの飯は!
お前の為の宴なんだ、遠慮すんな!!」

「…………」

「そうだぜ?セドナちゃん。
今日のディナーはすべてセドナちゃんの為に作ったもんだ。
腹いっぱい食ってくれ」

サンジがそう言いながらセドナの前に豪華に盛り付けられたフレンチを置き、それを食べようと手を伸ばしたルフィの頭を蹴り落とした。

「なにセドナちゃんの食いもんに手ェ出してやがるクソゴム!!」

「だってうまそうなんだもんよ」

「テメェの分は向こうに置いてるだろ!
レディの食べ物を横取りすんな!!」

そんなやりとりをしている二人に挟まれたセドナ。

しかし彼女は気にする様子もなくジッと目の前のフレンチを見つめ

「…………」

手を伸ばし、パクリと食べた。

「どう?美味しい?」

様子を見ていたナミが問いかける。

「…It is delicious.」

「………」

言葉の意味が分からなくてナミは表情が強張る。

だが

「うめぇって言ってるぞ!
良かったなサンジ!」

ルフィだけはなんの苦もなくあっさり理解した。

「ルフィ、あんた本当に言葉わかってんの?」

「わかんねぇ。
でも言ってそうな顔だろ?」

彼女の表情がどう変わったのかナミには理解出来なかった。

けれど、黙々と料理を食べるセドナの姿を見て料理を気に入ったことは確かのようだ。

「もう少し落ち着いたら、セドナに言葉を教えなきゃね」

「そうですねナミさん。
ああ!早くセドナちゃんとお話がしたいッ!!」

「でも、彼は問題なさそうよ?」

ロビンのしなやかな指が指す方向には

「おら食えセドナ!
なに?そんなに食べられない?
ならおれが食う!
あ、これうめぇ!おめぇも食ってみろっ
さっき食ったって?」

セドナの近くでテーブルに座り、料理にがっつくルフィとのんびり食事をするセドナ。

ナミが呆れたように眺めながら

「会話が成立っていうか…
ルフィの一方的なおしゃべりね」

「あの子も楽しそうじゃない。
見ていて和むわ、あの二人」

「そうね。とりあえず…
サンジくん、これおかわり!」

「は〜〜い!ナミさん!!」






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