ゴーイングメリー号にたどり着くと、ルフィは一段と大きな声で叫んだ。

「おいみんな!!聞けー!!!」

ルフィの声の大きさに不思議に思ったクルー達がぞろぞろと部屋から出てくる。

泣きはらして腫れた目をしたナミが不機嫌そうに

「なによ、いきなり」

ナミだけでなく他のクルー達も沈んだ表情をしている。

そんなクルー達にルフィは満面の笑みで

「セドナは生きてるぞー!!」

『………!?』

いきなりの言葉に信じられず、クルー達は目を見張る。

「ルフィ…あんたなに言ってんの…?」

「おいルフィ。信じたくねぇ気持ちは分かるけどよ、そんな嘘…」

「嘘じゃねぇ!!」

サンジの言葉を遮り、ルフィは強気に言って手に握っていた手配書を見せた。

「…手配書?」

ナミがその手配書を手にとる。

「セドナは今、そいつがいる海賊団にいるみてぇなんだ」

ロビンがナミの横から手配書を覗き込む。

しばらくその手配書を見つめると

「この海賊団…『奇跡の手』と呼ばれる医師が乗っている海賊団ね。
懸賞金は低いけれど悪い噂は聞いたことがないわ」

「『奇跡の手』…?」

「どんな病気や怪我も治してしまうようよ。
船医さん、貴方のようにね」

「そっそんなこと言われても嬉しくなんかねぇぞコノヤローっ」

ロビンの言葉にチョッパーは体をくねらせ、緩みきった表情で意地を張る。

「セドナはその海賊団の医師の手術を受けて助かったみてぇなんだ」

「それが、本当なら…っ」

ナミの表情がみるみる明るくなっていく。

「今すぐ迎えに行ってあげなくちゃ!
きっと待ってるわ!!」

「本当だぜ!その女船長とやらにも礼をしなくちゃな!」

「おいルフィっセドナは今どこにいるんだ!?」

表情が晴れやかになるサンジとウソップ。
気が急くのか期待の目でルフィを見る。

「それがよ、海軍に見つかったみてぇで3日前にこの島から出航したみてぇなんだ。セドナと一緒にな」

「え…じゃあ、この島にはもういないってことか?」

「ああ」

「マジかよ…」

ひどく落ち込むナミとサンジ、そしてウソップとチョッパー。

だがルフィは満面の笑みで

「なぁに!海で冒険してりゃいつか会えるさっ
いつか会えた時にその海賊団に礼を言えば良いしよ!」

「そういうことだな」

そう言ってゾロがフッと笑う。

落ち込んでいたクルー達もルフィの言葉に元気を取り戻し

「そうね…っきっと会えるわよね!」

「ええ、きっと」

「絶対セドナに会うぞっ
そしてセドナを助けてくれた船医と色々話を聞くんだ!」

「3日前に出航したんならメリー号のスピードを速めれば追いつくんじゃないのか?」

「メリーには可哀想だがちょっと頑張ってもらうか?」

「ンな焦るこたねぇだろ」

ナミとロビンとチョッパー、そしてサンジとウソップとゾロの表情は、完全にいつも通りになっていた。

それを見たルフィは満足げに『ししっ』と笑う。

「よし!お前ら!」

力強いルフィの声に、クルー達の目が一斉にルフィに向けられる。

「冒険に出るぞ!
そしていつか、セドナと会うぞっ
分かったか野郎共ー!!!」

『お――――っ!!!』

全員の拳が元気よく空に向けられる。

賑やかな声が海一面に広がる。

「待ってろよっセドナ…!」

海を振り返ってそう言ったルフィの表情は
明るい日に照らされ、光るように爽やかだった。

大切な仲間と

憧れの大海賊に

いつか会えると信じて――…!


・fin



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