ルフィが気付いて周りを見回すと、そこはメリー号の甲板ではなく
冷たい石で出来た玉座のような場所だった。

「なんだ…ここ?」

ルフィだけでなくクルー達もおり、みんな頭を抱えながら起き上がったり周りを見ながら起き上がったりと無事そうだ。

「…どこ、ここ」

ナミが頭を抱えたまま呟く。

「そうだっセドナ!」

慌ててルフィは自分の腕を見るとしっかり彼女を抱いており、無事だったことにホッとした。

「この世に海の神は2人もいらない」

聞こえた声はあのカラスを操る男。

声がした方を勢いよく見ると、まっすぐと長い階段の先にある王座。

そこに男は立っていた。

「今こそ闇と光をひとつに」

「なに訳分かんねぇこと言ってんだ!テメェ!」

サンジが男を睨みながら叫ぶ。

「ここはどこだ!どこに連れてきやがった!」

「大昔、セドナが死んだ城」

「え…っあの冬島の古城…!?
でもあの古城は崩れたはずじゃ…!」

「海の神に与えられし城…
それはいずれ私のものになるはずだった…
幻の城を持つことしか出来なかった、この私が…」

男がルフィを指差す。
すると黒い電撃がルフィへ向かって迸り

「ぅあっち!」

バチィ!とセドナを抱いている腕に電気が当たって、思わずセドナを離して床に落としてしまった。

「………」

その衝撃にセドナはゆっくりと目を覚まして、体を起こした。

「わりぃセドナ!大丈夫か!?」

ルフィが慌てて手を差し伸べる。

バチッ!バチバチ!!

「うわっと!?」

2人の間に距離をとらせるように黒い電撃が立て続けに迸る。
もちろんルフィはギリギリでその電撃を交わす為後ろへ逃げた為、セドナとは引き離されてしまった。

「てめぇ!さっきからなにすんだ!」

「人間が容易く神に触れられると思うな」

冷たく言い放つ男。

セドナはゆっくりと立ち上がった。

「sedna Edioinaritk」

ルフィ達には分からない言葉で男はセドナに向かって手を差し伸べる。

「…」

セドナは無言のまま、いつも通り表情も変えない。

「Attaninok ianonekayikik arakuti sedna」

苛ついたように男は言う。

だがセドナに変わった様子はない。

「そうか…邪魔になる存在がいるのか」

男はそう言いながら訳が分からないルフィ達を見た。

それに気付いて構えるクルー達。

「セドナっ早くこっちに…!」

「動くな」

ナミがセドナへと走り出そうとした時、男の体から爆発したように黒い電撃が部屋中に迸った!

「なっなんだこれ!?」

「避けきれねぇ!」

慌てふためきながら逃げ回るルフィ達。

だがセドナだけはただ一人立ち尽くし微動だにしない。

「セドナ!」

チョッパーがそれに気付いて叫ぶと、同時に黒い電撃もセドナに迫っていた。

「うおおおお!」

人型になって走り、セドナを突き飛ばしてその電撃から助けるが変わりにチョッパーがその電撃を浴びてしまった。

突き飛ばされ、座り込んでしまったセドナがチョッパーを見る。

「うあああ!!」

ビリビリと痛みが体中に巡り、チョッパーは叫んだ。
そして体が硬直して動かなくなる。

「な…なんでだ…?動けねぇ…!」

硬直してしまった体を動かそうとするがやはり動けない。

そんな中再び電撃がセドナ目掛けて迫ってきていた。

「セドナっ逃げろお!」

座り込んでしまったまま動かないセドナ。
もうダメだとチョッパーは目をギュッと閉じた。

バチィ!!

電撃が体に当たる音がした。

チョッパーはおそるおそる目を開けると

「……!?」

セドナは平気そうな表情でゆっくりと立ち上がっていた。

「セドナ…?動けるのか?」

問いかけるチョッパーへと歩みだす彼女。どうやら歩けるようだ。

「なんで…」

「ぐああ!!」

「きゃあああ!!」

聞こえてきた仲間の悲鳴にチョッパーはハッとする。

「助けようなど考えるな」

男の声が部屋に響く。

「その瞬間、人間達を殺す」

いつの間にか、部屋の中で動ける人物は男とセドナだけになっていた。

言葉が分からないはずのセドナ。
しかし男の声で感じとったのか、チョッパーに伸ばしていた白い腕をゆっくりと下ろしてしまったのだった。






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