夕食を作っていたサンジも少しセドナを気にしていたのか

「今日は外で食おう」

そう言ってまるで気分転換でも意識してるかのように豪華で様々な料理を持ってきた。
ナミはデッキにテーブルを用意しながら『凄いわね〜…』と呟き、そしてふと気になった。

「サンジくんもセドナが気になる?」

「なんとなく元気がない気がしてな」

「ふふっもう大丈夫よ」

ロビンがテーブルクロスを敷きながら言った。

「船長さんのおかげでね」

「…そうみたいだな」

サンジは口元に笑みを浮かべながら、海上にいてはしゃぎまわるルフィとその後ろをついてまわるセドナを見つめる。

「サンジくん、テーブルの用意が出来たわよ」

「じゃあ飯にしよう」

海上にいる二人を呼び、そして外の立食パーティーが開かれる。
星空の下、灯りはランプだけといういつもとは違う雰囲気を楽しみながらクルー達は食を進め、和やかなムードのルフィとセドナに頬を緩めたのだった。

















それから数日後。

その日ルフィはそわそわと落ち着きがなかった。

視線はチラホラとデッキに佇んでいるセドナに向けているのだが、何故がうろうろとして話しかけない。

「なにしてんのよルフィ」

不振に思ったナミがルフィに声をかける。

「なぁナミ。おれ…セドナにどうやって声をかけていいのか分からなくなった」

「はぁ?」

「今のおれ変なんだ!セドナを見てるとなんか痛ぇし苦しい!」

「…どこが?」

「ここが!」

そう言って胸元を叩いた。

それを見てナミは一瞬呆気にとられるが、すぐに内心で目が光り

「ルフィ。それはセドナにしか治せないわ」

「チョッパーでも無理なのか!?」

「ええ…だからセドナに治してもらわないと!
でもセドナは言葉が分からないから行動でアピールするのよっ」

「…どうすればいいんだ?」

「まず抱き付きなさい」

「ええ!?」

「いいから早く!」

ナミの迫力に負けルフィはセドナへと走り出す。
そんなルフィに気付いたセドナは走ってくるルフィをジッと見つめ


「セドナ…!」

両手を広げて抱きしめようとする彼の意思など分からず、ただ道を開けようとしてスッと避けた。
ルフィの腕は虚しく空気を抱く。

「……………。
セドナが避けた!!」

「ルフィ!もう一回よ!」

見ていたナミが叫ぶとルフィはすぐに横にいたセドナを抱きしめた。

「!」

突然のことに驚いたセドナは小さく悲鳴を上げる。

「…………」

「…………」

しばらくその格好で二人は無言で固まる。
やがてルフィが困ったように

「なぁナミ。これからどうすんだ?」

「そんなの自分で考えなさいよっ」

そう言いながらもナミは期待に満ちた顔で二人をジッと見つめる。

いよいよ困り果てたルフィはとりあえずセドナを抱いておくことにしてそのまま立ち尽くす。

そして、しばらくしてルフィの気持ちに変化が表れる。

「なんか…おれ…」

大人しく抱かれているセドナを見下ろし、ルフィは胸の奥がザワザワと騒ぐ様子に気付いた。

「おれ…」

抱きしめていたセドナをゆっくり離し、まるで誘われるようにルフィはゆっくりと顔を近づけていく。

その時だった。

「Etim owera」

「え」

セドナが何かを見ながら指を差すのでルフィは反射的に近づけていた顔を止め、その方向を見た。
セドナが指差す方向にはウソップとチョッパーがおり、二人はウソップが開発したのであろう何かの道具に夢中だ。
ウソップはルフィを見ると

「おーい!ルフィー!凄いもん作ったぞー!」

叫んで手を振った。
好奇心旺盛なルフィはもちろんさっきまでの気持ちなどすっかり忘れ

「見せろー!」

そう言ってウソップとチョッパーの元へと走って行ったのだった。

「もうちょっとだったのに…!ウソップのバカ!空気読みなさいよ!!」

「な、なんだ?」

「ナミが怖いぞ!」


*無名様リクThank you!



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