本を読もうと女部屋にやって来たロビン。そこには机に座ってペンを見つめるセドナと、そんな彼女の横に座るナミがいた。

「ふふっ頑張ってるわね」

ロビンが微笑みながら言う。

「物に対する興味はあるみたいなんだけど…それを言葉にするのがなかなかねぇ…」

「知らない言葉を覚えるんだもの。何千年前から生きてる彼女にとって大変なことだと思うわ」

「でも『ありがとう』は言えたのに…あまり教えてない言葉なのに一体どうやって覚えたのかしら。
ねぇセドナ〜…せめて私達の名前くらい呼んで欲しいわ〜…」

ナミはため息をつきながら手元でペンをいじっているセドナの頭を横から指先でつつく。

「ロビンはどうなの?セドナが使ってる言葉は覚えられた?」

「文法の使い方とかはそれなりに覚えたけど…
あまりにも資料が少ない上に発音が曖昧だからあまり覚えられてないわ。
神様が使う言葉だもの。人間の私達には難しいのかもしれないわね」

「そう…やっぱり根気よく教えていくしかないわね。
だからお願いセドナ〜!一回でいいから名前呼んでっ誰の名前でもいいから!」

「?…?」

お願いするような口調でナミはぎゅーっとセドナに抱き付いた。
訳が分からないセドナはペンを持って大人しくされるがままでいる。

「航海士さんも大変ね」

ロビンはクスクス笑いながら本棚へと歩き、そして本を選びだした。

その時、バタバタと大きな足音が聞こえその直後に女部屋の扉が勢い良く開かれた。

「おいセドナ!遊ぼうぜ!」

「ちょっとルフィ!ノックぐらいしてって言ってるでしょう!?」

「わり。
なぁセドナっ一緒に遊ぼう!」

キラキラとした笑顔でルフィはセドナに向かって差し出すように手を伸ばす。
それを見たナミは

「今セドナは言葉の勉強中よ。また後にしてちょうだい」

「そんなの遊びながらでも出来るだろ」

差し出されたルフィの手をセドナの白い手が重なる。
ルフィはその手を握ると

「ほら見ろ。セドナも遊びてぇってよ!
行くぞセドナっ遊ぶぞー!!」

「ちょっと待ちなさいルフィ!」

そのままセドナと手を繋ぎ、引っ張っていくルフィをナミは慌てて追いかける。
ドタバタと賑やかな三人をロビンは静かに見送りながら

「船長さんはいつでも手を繋いでいたいのね」

クスクス笑ってそう呟いた。


















甲板に出てきたルフィとセドナ、ナミを待っていたのはチョッパーとウソップだった。

「言葉を教えながら遊ぶってどうやるつもり?」

勉強の邪魔をされナミはピリピリしながら未だセドナの手を離そうとしないルフィに問いかけた。

「簡単じゃねぇか。
よしチョッパー!しりとりしよう!」

「おれからな!んーと、ルフィっ」

「い…いちご!」

「ごはん!」

「終わってんじゃないのよ!!」

スパァン!とナミがルフィの頭をはたいた。
ゴムだからルフィにはまったくの無効だが。

「それにっセドナは物の名前が分からないんだからしりとりだけじゃなにも覚えられないのよ!?」

「じゃあ『物しりとり』だ!ウソップ!」

「おう!…マスト!」

ウソップはビシッと上を指差してマストを指差す。

「と…トニートニー・チョッパー!」

チョッパーは自分を指差す。

ルフィは手を繋いでいるセドナを引っ張ってキッチンに向かうと

「パン!」

「だから終わらすな!!」

再びナミがルフィの頭をはたいた。

持ったパンをそのまま食べようとした事に対して、ルフィはキッチンにいたサンジの怒りも買ったのかあっさり取り上げられ頭にかかと落としをくらった。

「何事だ?ナミさん」

「ルフィがセドナに遊びながら言葉教えようって言うのよ」

「なるほどな…
おいルフィ。キッチンにある物を使うなとは言わねぇがめちゃくちゃにすんなよ。あと食材食うな」

「おう!わかった!」

「ちょっと…いいの?サンジくん。
仕込みの途中なんでしょう?」

キッチンを出て行こうとするサンジをナミが慌てて呼び止める。
サンジはタバコに火を付けながら

「キッチンには様々な道具があるから言葉を覚えるには最適だ。
それにどうせダシを取るのに時間がかかる。それまでセドナちゃんとナミさんに貸してやるだけさ」

そう言ってサンジはキッチンから出て行った。

「悪いわね…」

ナミはそんなサンジの背に呟くと、とりあえず『物しりとり』を再開してはしゃぎまわっている男三人を拳で落ち着かせたのだった。


*まなか様リクThank you!



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