次の日の朝、朝食も済ませたクルー一同はのんびりと各々で過ごしている。
海には珍しく風がなく穏やかで、船は錨を下ろして停船していた。

「……」

セドナがデッキに来るとチョッパーがゴリゴリと薬草をすり潰す作業をしていた。横に広げてあるシートには何種類もの薬草が干してある。

「…」

セドナはチョッパーの近くに駆け寄ると横にしゃがんで作業を見つめる。

「あ、セドナ」

それに気付いたチョッパーがセドナに笑いかけた。

「What is this?」

「え、えっと…」

分からない言葉にチョッパーは戸惑う。だが会話をしていたい彼は会話が成立しないのを覚悟に

「今薬を作ってるんだ」

「…?」

「薬。く す り、だぞ?」

「…」

「セドナも怪我したらおれが治してやるからな!」

すり潰した薬草をビンに入れ、テキパキと作業を進める。
しばらく側でじっと見ていたセドナだが、なにがしたいのかやがてチョッパーの周りをうろうろと歩きだした。

「…?どうしたんだよセドナ」

「手伝いてぇんじゃねぇのか?」

その時、大きな欠伸をしながらゾロがデッキにやってきた。
チョッパーはゾロの言葉を聞くともう一度セドナを見上げ

「…じゃあ、あの薬草取ってくれるか?」

そう言ってシートの端に置いてあるカラカラと乾燥した赤い薬草を指した。
セドナはそれを見て薬草の所まで行き、大切に薬草を取るとチョッパーの所に持ってきた。

「ほんとだ!手伝ってくれたぞっよく分かったなゾロ!」

嬉しそうに笑いながら薬草を受け取り、デッキの手すりにもたれかかった昼寝体制のゾロを見た。

「セドナはなんかしてぇ時相手の周りをうろつく癖があるみてぇだからな」

「ゾロもされたことあるのか?」

「ああ。鍛錬中何度もな。
でも特にさせることねぇから腕立ての時背中乗せるぐらいにしてるんだが…やっぱり言葉分かんねぇみたいで何度も途中で降りられた」

「へ〜そうなのか。
セドナ、最近サンジの手伝いもしてるよなっ」

「手が荒れるからって食器洗いはさせねぇけどな」

「ナミやロビンの手伝いもしてるのかな?」

「さぁな。あいつらがするものが手伝える内容とは思えねぇけど…なんかしてるだろ」

「ウソップの手伝いはしてるのか?」

「工具取らせるぐらいはさせてたな」

「ルフィの手伝いは?」

「あいつの遊び相手が手伝いだろうな」

「凄いなセドナ!その内何でも出来るようになるかもしれないなっ」

「そうだな」

「おれ、やっぱりセドナ好きだ!」

チョッパーはそう言ってしゃがんでいたセドナに抱きつく。
突然のことにセドナは驚き、その場に倒れ込むがチョッパーはしっかりと抱き留めていた。

「ルフィもセドナが好きって言ってたよな!おれ嬉しかったんだ!」

「バーカ。そんなのお前とルフィだけじゃねぇよ」

「ゾロも…セドナが好きなのか?」

「この船に乗る奴らは、みんなセドナが好きさ。
でなきゃ仲間なんて思わねぇだろ」

「…エッエッエッそうだよな!」

チョッパーは嬉しそうに笑ってセドナにギュッと抱き付いた。
そしてセドナを見上げると

「なぁセドナ、いっぱい手伝っていっぱい言葉覚えてくれよ?」

「…………」

「そしたらいつかいっぱい話そうな!おれ、楽しみにしてるからな!」

にこにこ笑ってセドナにひたすら抱きつくチョッパー。
ゾロはそんな光景を微笑みながら眺め、そしていつの間にかデッキにやってきていたナミに気付く。
ナミも微笑ましそうに見つめていた。

「………」

キョトンとチョッパーを見つめていたセドナ。
そんなセドナも、ギュッとチョッパーを抱き締め返したのだった。


*もく様リクThank you!



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