全員の紹介が済んだ後、ナミは女部屋へ行って調べ物をするロビンの様子を伺った。

「どう?ロビン」

「まだそれらしいのは見当たらないわ」

「そう」

「でも、多分あの子は普通じゃない」

「それは…なんとなく私も分かる」

「一体どこから来たのかしら…
言葉が通じないなんて…」

その時、甲板が騒がしくなった。

「なに…?ちょっと行ってくるわ!」

ナミは走って甲板に向かい、そしてドアを開けると

「きゃ!?」

目の前を黒いカラスが飛び去った。

よく見てみれば甲板中黒いカラスだらけになっている。

「なによこれ…!?」

カラス達と格闘しているルフィ達。

さすがの数に全員驚きを隠せないようだ。

その時、ナミはふとカラス達が一カ所に固まっているのが見えた。

固まっているカラスの前には怯えた表情の少女。

「…あ…!」

次の瞬間、少女は黒い固まりに悲鳴もなく呑まれた。

その固まりは空へと浮き始める。

「ルフィ!サンジくん!女の子が!!」

近くにいた二人に呼びかける。

二人はハッと黒い固まりを見つけ、サンジが慌てたように固まりの中に突っ込んでいった。

「クソカラスー!よくも美しいお嬢さんを!
離せクソ野郎ー!!」

「なぁサンジ。カラスって食えんのかな」

噛み合ってない会話だが二人は協力して少女を固まりから救いだした。

それと同時に大勢のカラスは去っていく。

少女に傷はなかった。

「怪我はないですか?レディ?」

紳士に問いかけるサンジだが返事はない。

ナミが寄ってきて問いかける。

「なにがあったの?」

「わからねぇ
いきなり大量のカラスが来たんだ」

ウソップが答える。

「…私の考えすぎだと良いけど…
あのカラス達、女の子を狙ってた気がするわ」

「ハァ?バカバカしい」

「ナミさんに向かってバカとはなんだクソマリモ!」

「でもそうとしか考えられないわ。
事実、サンジくんとルフィが女の子を助けた途端去っていったんだから」

『…………』

「お…おれ、見たんだ」

沈黙の中、チョッパーが言う。

「あのカラス達、海から出てきてたんだ」

「…海?カラスなのにか?」

ウソップが問い、チョッパーが頷く。

「本当なんだ。
それに、口々に『奪え、奪え』って言ってた」

「…そんな……」

少女を見るナミ。

少女は表情も変えない。

「やっぱりこの子、なにかあるんだわ」

ナミがそう言った時

「なぁサンジ!
肉捕まえたぞ肉!!」

「おめーはカラス捕まえんな!!」

片手に五羽ほどのカラスを逆さ吊りにして嬉しそうなルフィにサンジが叫んだ。

「なんでだよ。食料だぜ?食料」

「…たく、わーったよ。
最高の鳥肉料理作ってやるぜ」

そう言ってカラスを受け取ろうと手を伸ばす。

だが

バシャ!

「うわ!?」

カラスは、一瞬にして水になり床に落ちた。

「なんだこれ!?カラスが消えた!?
おいっ肉が消えた!」

「水…!?」

不可解な状況に混乱するクルー達。

「一体なにが起きてるの…?」

ナミの疑問に、誰も答えることが出来なかった。






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