「ルフィ、セドナ!」

昼頃を迎え未だ町をうろついていたルフィとセドナにナミの声がかかる。

「よぉ、ナミにロビン。買い出し終わったのか?」

「だいたいは済んだわ。
それよりルフィ、あんたにはルフィとセドナ二人ぶんのお小遣い渡してんのよ?
なにかセドナに気がきく物でも買ってあげたの?」

「おれの肉一個やった」

「ハァ…
やっぱり無理そうね。セドナのお金返して。私が服でも買っておくわ」

「おう」

ルフィはセドナと繋いでいた手を離し、その手でポケットから預かったセドナの分のお金を取り出して渡す。
呆れ顔のナミはそれを受け取った。

「ふふっ船長さん優しいわね。自分の好きな物を彼女にあげただなんて」

「肉食わねぇからセドナは倒れるんだ。だから食わした」

「んなわけないでしょうがっ
それに、朝食に出てた肉類もちゃんと食べてたじゃない」

「もっと食わねぇとダメだ!」

「あんたねぇ…」

その時だった。

「やっぱりそうだ!あいつ、麦わら海賊団の船長…麦わらのルフィだ!」

町の人の一人が手配書を見ながらルフィを指差して叫ぶ。

「じゃあ周りの奴らは…その一味か!?」

「海賊は出て行けー!」

「また『神捜し』に来たのかー!!」

町の人々は叫びながら思い思いの武器を手に殺気立って集まりだした。

「まずいわよルフィ…!」

「なんであいつら怒ってんだ?」

「春島で聞いた『神捜し』が原因のようね」

「でもあれはシャンクスが海賊ぶっ飛ばしたって言ってたじゃねぇか」

「その島で解決したことでも、この島では解決しなかったことよ。
荒されるだけ荒らされて海賊は島から出て行った…
この島の人にとって『神捜し』の出来事はそういうこと」

「捕まえろー!!」

町の人の一人の一声により、怒号と共にルフィ達めがけて走り出した。

「逃げるわよ!」

「おう!」

ナミの叫び声と共にルフィ達も走り出した。
















そして、ルフィ達はなんとか町の人々を撒き、島のどこかに隠してあった船へと戻ってきた。

「よぉ、お帰り」

先に帰っていたウソップと船番をしていたチョッパーが息を激しくきらすナミにキョトンとする。

「なにかあったのか?」

「海賊ってバレて追いかけられたのよ…
私とロビンとルフィは顔が割れちゃったから、もう町に行けないわ…」

「大変だったな…って言うついでに聞いていいか?ルフィ」

「なんだ?ウソップ」

「お前…セドナは?」

ウソップが指差す方向を見るルフィ達。
そこには居るべきセドナの姿はなかった。

「うわあああああ!!!?
セドナがいねぇ!消えたあああああ!!!!?」

「あんたが手を離して置いてきたんでしょうがあ!!」

ナミのゲンコツがルフィの頭にクリティカルヒットした。

一方、セドナは一人でうろうろと町の中を歩いていた。

実はルフィが手を離してからしばらくして、ルフィ達とは離れた場所を歩きまわっていたのだ。
その為町の人達はセドナを麦わら一味とは認識せず、まったく眼中になく華麗なほど無視してひたすらルフィ達を追って行った。

「…………」

単に町並みに興味深いのか、それともルフィ達を探してるのか。セドナはキョロキョロと周りを見回しながら一人で歩いている。

ルフィ達を追って行った為人が減った大通りを歩き、フラフラと迷い込むように裏路地に入る。
そして裏路地を歩き、奥へと進んで行くと

「よぉ姉ちゃん」

背の高い大柄で如何にも人相の悪い男三人がセドナを取り囲んだ。

「………?」

言葉もその行動の意味も分からないセドナは不思議そうに男を見上げる。

「ちょっと付き合ってくれよ。安心しろ、とっても良い所だからよ。…へへ」

怪しい笑みを浮かべて男の一人がセドナの細い腕を逃がさないようにと力強く握る。

「…!」

その痛みにやっと恐怖心を抱き、セドナは逃げようと振り返るが

「逃がさねぇよ」

「落ち着けって。まだ喰ったりしねぇからよ」

後ろで待機していた二人の男が行く手を阻む。

「…Etisnah iwok!」

セドナが叫んだ時、三人の男は目を見開いて驚いた。

「おい…今こいつなんて言った?」

「さ、さぁ…」

「聞いたことねぇ言葉だったよな」

「面白れぇ…喰っちまおうかと思ったが止めだ!
こんな珍しい女は売ると金になる!売っちまおう!」

『おう!!』

男達は嫌がるセドナを引きずって連れて歩きだす。なすすべもないセドナは付いて行くしかなかった。

しかしその時、地面から無数のカラス達が沸くように現れた。

「な…なんだこいつら!?」

カラスに襲われ男達は叫びながら振り払おうとする。
セドナの腕を掴んでいた男も必死になっていた。

「…!」

男達がカラス達に気を取られてる間に固まりとなったカラス達がセドナを捉え、呑むようにその白い体を引きずり込む。

「そいつに触るなあああ!!」

タイミング良く叫びながら家の屋根から飛び下りてきたのは、厳しい顔をしたルフィ。
落下しながら重力に任せてルフィはまずセドナの腕を掴む男を殴り倒した。

「セドナ!」

カラス達に呑み込まれながらルフィに向かって必死に手を伸ばしているセドナ。
ルフィはそれに気づき、伸ばしているセドナの手を取って固まりから引きずり出した。

「逃げるぞ!」

群がるカラス達を倒そうとはせず、ルフィはセドナを抱くと家の屋根へと手を伸ばしそして飛ぶ。

「ふぅー…無事で良かった」

ニカッとセドナに笑いかけ屋根伝いにルフィは次々に飛んで行く。
その為カラス達に追いつかれることもなく、町の人に気付かれることもなく、無事に船に戻れたのだった。


*中日様リクThank you!



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