夜が明けて朝になった。
チョッパーの診断では特に異常無しと診断されたが、やはり1日に二回も倒れたとあってナミ達クルーは心配し、今日1日安静にするようにとセドナのベッドと化しているソファーに寝かせる。
しかし、言葉が通じないせいかセドナは数分の間だけベッドに横たわっていたがすぐ抜け出して外に出ようとする。

「元気なら元気でいいんだけど…
今日は買い出しだってするんだし、心配だわ」

「でも、大人しく寝てくれそうにもないわよ?」

心配そうに唸るナミにロビンがなんだか楽しげにセドナを見る。
セドナはやはり船内から出てしまっており、水くみ用として置いていた樽の上に乗って空のカモメを見ていた。

一方、キッチンでは

「なぁ、なんでセドナはおれ達の部屋に来てたんだ?」

朝まですっかり寝こけていたルフィは朝食を作るサンジに問いかけ、目を盗んではつまみ食いをしようと狙っていた。

「それはセドナちゃんに聞かねぇとおれじゃ分かんねぇよ」

「そうか」

「それよりルフィ。お前こそ体はなんともねぇのか?」

「おう、平気だ。…なんでだ?」

「いや…昨日の夜セドナちゃんが部屋に来た時にだな、セドナちゃんがお前の手を握っていつもみたいに体を光らせたんだ」

「…………」

「その時お前の体も一緒に光ったからよ、なんか起こるのかって気になってな」

「そうか。別におれはなんともないぞ」

「ならいいんだ。
まあ、相手がセドナちゃんだしな…害があることをするなんて思わねぇ」

サンジが振り返った時、つまみ食いをしようとしていたルフィの頭に蹴りを入れる。
フライパンに乗っていた料理を皿に盛り付け、そして朝食は完成した。




















「冒険だー!!」

朝食も食べ終わり、クルー達は買い出しの為町へとくり出した。

冬島にしては珍しい気持ち良いほどの晴天で、船番であるチョッパーを残し思い思いに町へと向かう。

「ちょっとルフィ!あまりセドナを引っ張りまわしちゃダメよ!?
また倒れるかもしれないんだからねっ」

「おう!」

返事はいいが実行出来ていない。
変わらずルフィはハイペースでセドナと手を繋ぎ、町中へと走って行った。

「大丈夫かしら…
結局セドナがうろうろ動きまわるから連れて行くことになっちゃったけど…」

「ふふっ船長さんと一緒なら大丈夫よ。
彼女が倒れてもきっと抱いて戻ってきてくれるわ」

「…そうね」

優しく見守るように二人を見送るナミとロビン。
そんなことなど露知らず、ルフィはバタバタ走ってセドナを引っ張りまわっていた。

「わくわくすんな〜!
この島がセドナの故郷なんてな!」

まるで絵に描いたような輝かしい笑顔で町中を歩いてまわる。
町の人々が些か落ち着きがないのかやはりいきなり崩れさった古城が原因なのだろうか。

だがそんなことなどルフィには関係なく

「おっさん!肉くれっ」

出ていた屋台へと走って行く。
ナミからもらった小遣いで大量の肉を買い、幸せそうにそれを両手いっぱいに持って一つずつ頬張る。

「お前も食うか?うんめぇぞ?」

傍らで静かに佇んでいたセドナにルフィが問いかける。

「………?」

「ほら、食え!」

不思議そうなセドナにルフィが肉を一つズイッと差し出す。
それを見てなんとなく分かったのか

「It is unnecessary.」

そう言って頭を左右に振る。

「いらねぇって言ってんのか?」

ルフィは確認の為もう一度差し出す。
やはりセドナは同じように頭を振った。
それを見たルフィは

「ダメだ!しっかり食え!
じゃねぇとまた倒れるぞ!」

セドナの白い手に無理やり持たせる。
肉を持たされたセドナは無言で手の肉を見つめる。

「うめぇぞ?この肉」

ルフィはそう言ってかじりかけの肉に一口かじりついて見せた。
そして幸せそうに笑う。

「…………」

それを見たセドナは、もう一度手の肉を見つめると

「…」

パクリと一口食べた。

「ししし!うめぇだろ!」

セドナが食べたというだけで十分嬉しいルフィ。
食べかけの肉を一気に食べほし、片方の手に持っていたすべての肉を口の中に入れると空いたその手でしっかりとセドナの手を握る。

「ひふほ!(いくぞ!)」

もごもごと口を動かしながら、ルフィは再び歩き出した。


*島の道連れアンケート一位ルフィ 投票Thank you!



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