夕食も食べ終わり、クルー達は就寝時間まで思い思いに過ごしていた。

「セドナー、お風呂上がったわよ。次入ってらっしゃい…て、あら?」

湯上がりのナミがタオルで髪を拭きながら女部屋に戻ってくるが、そこにはロビン一人だけしかいなかった。

「ロビン…セドナは?」

「さあ?どこかへ行ったわ」

本のページをめくりながらロビンが答える。
ナミはとりあえず近くのイスに座ると

「ねぇ、ルフィがセドナを好きなのは明確なんだけど…セドナはどうなんだろ。
ルフィのこと好きなのかしら」

「そうね…
まず彼女は恋愛感情を知ってるのかしら。
恋愛も知らず生け贄にされて、海の女神として蘇った後もずっと独りで海にいたのなら、恋愛なんて知らないのかも」

「うーん、そっか。セドナはまず恋愛を知ることから始めないといけないのよね」

「でも大丈夫よ。彼女だって昔は人間だったんだもの。
自分の中の気持ちがなんなのか、きっと気付けるわ」

ロビンはそう言って本を閉じた。

「お風呂いただくわ」

「うん」

そしてタオルと着替えを持ち、風呂場へと向かって行った。

その頃、セドナは一人海に立って夜空を眺めていた。

「…………」

そして手をぎゅっと握る。
なにか、決心したように…
















船番であるチョッパーを除いて誰もが眠りについた夜中。
船内から出てきた人の気配に気付き、チョッパーは見張り台の上から覗き込む。

「セドナ…」

甲板に出てきていたのは、暗闇の中白い肌と白い服がまるで発光してるかのように映えるセドナだった。

「セドナ、眠れないのかー?」

チョッパーが見張り台から叫ぶが答えようとはしない。
セドナは少し歩くと

「…え?」

男部屋へと通じるドアを開けた。

「セドナ…!?もうみんな寝てるぞ!?
なぁ!おいったら!!」

一言も答えず、男部屋へと入って行ってしまった。

「ど、どうしよう」

チョッパーは困りただその場でオロオロとするしかなかった。

「………」

男部屋に入ったセドナはいびきがうるさいほど響く中をキョロキョロと見回していた。
そして、ある人物を見つけて静かに歩み寄る。
その人物はハンモックに横たわり、腹に大切な麦わら帽子を抱いていびきを上げるルフィだった。

「…セドナちゃん?一体どうしたんだ?」

気配に気付いたサンジが起き上がる。
しかしやはりセドナは答えず、ハンモックからはみ出ているルフィの手をそっと握った。

「…………」

セドナが目を閉じた途端、白い体が発光しだした。
そして同調するようにルフィの体も光りだす。

「な…なんだ!?」

突然のことに驚くサンジ。
そして騒ぎと眩しさに寝ていたゾロとウソップも目を覚ました。

「夜中になんだよ…」

「眩しいな…もう朝か?」

ゾロとウソップがムクリと起き上がり、そしてセドナの姿にギョッとする。

「な…なんだ!?なんでセドナがいるんだ!」

「知らねぇよ!」

「セドナちゃんはいきなり入ってきたんだ」

慌てふためくウソップに割と冷静なゾロとサンジ。
船長であるルフィだけは自分の身に何かが起こっているにも関わらずのん気に眠り続けている。

三人はなにが起きているか分からないが、とりあえず二人を見守ることにした。

セドナはまるで自分の光をルフィに送るように、じっと手を握って動こうとしない。
やがて、その表情が苦しそうなものに変わる。

「セドナちゃん…?大丈夫か?」

心配になったサンジが声をかける。
その声に答える声はなく

「……っ」

光が収まるとセドナは力なく倒れた。

「セドナちゃん!?」

「ウソップ!チョッパー呼んでこい!」

「わわわっ分かった!」

サンジがセドナを抱き上げると、セドナはただ気を失っているだけだった。

「ナミさん達の部屋に運んでくるぜ」

「ああ」

ハシゴを登り、ウソップに呼ばれて待機していたチョッパーと一緒に女部屋に向かう。

「セドナ…大丈夫かな」

心配そうなチョッパー。

「…一体なにを一人で抱え込んでるんだ、セドナちゃん…っ」

言葉が分かれば、聞き出すことが可能なこと。

しかし、互いに話す言葉は違い、通じ合えない。

その事実に
サンジはただ悔しそうに歯を食いしばるしかなかった。






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