瓦礫が落ちてくる中、ナミとチョッパーは叫びながら城内を走り回っていた。
「なんで城が崩れてくんのよー!!」
「知らねぇよ!!」
瓦礫から逃げるのに必死になり、もはや当初の目的など頭に入っていない。
がむしゃらに走って角を曲がった時誰かと鉢合わせた。
『ぃやああぁぁあああ!!』
思わず叫んでナミとチョッパーは抱き合う。
だが、ナミはすぐにその人物に気付いた。
「ルフィ!…ってセドナ!?」
「おう。なんだお前らか」
ルフィの腕の中には苦しそうなセドナがいる。
「ちょっと…セドナどうしたの!?」
「わかんね。なんか変な壁から電気がセドナに集まった途端城が崩れだしたんだよ」
「…え?
…と、とりあえずすぐ城から出ましょう!」
「おう!」
チョッパーの鼻を頼りにルフィ達はナミとチョッパーが乗ってきた小舟へと急ぐ。
昇降機にたどり着くと倒れていたレバーを起こし、下へと下がっていった。
「なんだ。ここ上がるのか」
「え、ルフィ知らなかったの?」
「ああ」
「上がりっぱなしになるはずの昇降機が使われてない謎が分かったわ…」
昇降機がたどり着くとナミ達は急いで小舟に乗る。
「洞窟も崩れるかもしれないわ。チョッパー、急いで!」
「おう!」
人型になりチョッパーは大急ぎでオールを漕ぐ。
ナミはルフィの腕に抱かれているセドナを見て
「なんか…ひどく疲れてるみたい…
一体どうしちゃったのかしら…」
やがて小舟は暗い洞窟から明るい外へと出た。
「…城が…」
どんどん離れていく、崩れる古城。
その時、目覚めたセドナがゆっくりと体を起こし、その古城を見つめた。
「…セドナ?」
「……………」
何も言おうとしない
語ろうともしない。
だがその目は、なんとも言えない切なげな色を宿していた。
夜になり、船内にはロビン以外帰っていた。
ロビンと一緒にいたサンジは夕食の仕込みがあるだろうからとロビンが気を遣い、先に帰したのだ。
セドナは一応チョッパーに診てもらい、異常なしという結果にクルー達全員ホッとした。
今はいつも通り静かにデッキや甲板で歩いてまわったり、景色を眺めたりしている。
ルフィから事情をすべて聞いたナミは心になにかが引っかかっていた。
「あの城…まさかセドナと関係があったなんて…」
今は崩れてすべてなくなってしまった古城に島の住人は大騒ぎをしていた。
ナミとチョッパーは小舟を借りる時、その借りる理由を曖昧にしていた為原因を知る者と見なされず住人からの質問責めは免れていた。
ルフィとセドナはまず住人が城へ行ったとも知らないのでこれも免れている。
「なぁナミ…おれ、あまり考えたくないんだけど…」
チョッパーが不安げにナミに言ってきた。
「噂の…生け贄として城に閉じ込められたたった一人の女の子って…もしかして…」
「私も…同じこと考えてたわ」
ちらりとセドナを見るナミ。
セドナは腕立てをするゾロの背に乗っていた。
だがやはり持続時間は未だに通じてないのか途中で降りてどこかへ行き、ゾロはガクリとその場に突っ伏した。
「でも、セドナには私達には理解出来ない不思議な力があるんだし…
もしかすると城と関係なくても…」
「いいえ。彼女と古城の関係は確証はないけど可能性はあるわ」
「え?」
セドナから目線を外して振り返る。
そこにはいつの間に帰っていたのかロビンが立っていた。
「ロビン!帰ってたのかっ」
「ええ」
「ねぇロビン。それってどういう意味?」
問うナミに無言になるロビン。
そして
「…その前に、食事にしましょう」
タイミングが良いのか悪いのか、キッチンから出てきたサンジが夕食が出来たことをクルー達に知らせている。
ロビンのにこりと笑う姿に、構えていた気持ちが一気にほぐれ、ナミとチョッパーは苦笑したのだった。
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