一方、島ではナミとロビン、そしてサンジとチョッパーがまずは聞き込みから情報を集めていた。
「ああ、あの城ね」
4人に呼び止められた男性は苦笑しながら言う。
「観光地じゃないよあの城は。
なんでも…入れる所がないみたいなんだよ。不思議な模様がかかれた、石みたいな変な壁があるみたいでさ」
「変な壁?」
ナミが眉を寄せる。
「ああ。そしてまた不思議なことになにしても壁が壊れないんだ。
諦めて壊れてる城の橋を上って中に入ろうとしても、また変な壁があって入れないんだ。まるで外と中の世界を遮断するようにね」
『……………』
「だからあの城を観光の目玉にするのは止めたみたいなのさ。昔は城を使って町おこしをしようとか…色々計画たててたみたいなんだけどねぇ」
「…そう。じゃあ、あの城っていつからあるの?」
「さぁ〜…詳しいことはよく知らないからなぁ…
オレが生まれた時からすでにあったしなぁ」
ナミの問いに男性は首を傾げて答える。
どうやらこれ以上の情報は望めないようだ。そう確信したナミ達は男性に礼を言うとその場を別れた。
「やっぱり入れる場所がないんだ…」
ナミ達と歩きながらチョッパーが呟く。
「でもルフィは絶対中に入ってるわね。飛んで行けるし」
「ふふっそうね」
「あいつはやると言ったらやる奴だからな」
ロビンがクスリと笑い、サンジはタバコの煙を吐く。
「だいたいの内容は掴めたけど…これっていう情報がなかったわね。
ねぇロビン、どうしよう」
「そうね。確証はないけどたくさんの情報を知るとなったら、今度は聞く人間の対象を変えないと」
「え?」
「噂の類は、男性より女性の方が好きでしょう?」
ルフィが外に出ると、前には長く続く下りの階段があった。
それを駆け下り、道を曲がると再び中庭のような場所に出たがちょっと前に見た中庭とは少し雰囲気が違う。
「なんだこれ」
雪が積もりつつある芝生にはいくつもの石で作られた薄い長四角の物が
横たわっている。
文字も彫られているが欠けた部分があり、それ以前に見たことない文字で読めない。
「…墓か?」
作りや雰囲気からしてルフィが今いる場所は墓地だろう。しかし暗くもなければ気味が悪い雰囲気もまったくない。
今こそ雪振る曇りの空だが、快晴となれば太陽の光が十分に差し込み、鳥の鳴き声が響く明るい場所になるだろう。
ルフィはその墓地を通り過ぎ、先にあった鉄柵のドアを開ける。
ドアの先にはまだ墓地が続いており、今度は階段がある段ごとに墓石が横たわる。前の墓地は城壁に囲まれていた墓地だったが次の墓地は片方に城壁がなく、足が竦む程の下の景色が見える。
そして一番上にある階段を上りきった場所を見ると
「…!」
今いる墓地から隣の城のエリアへ行く為の唯一の手段であろう、上がりきった跳ね橋を見上げながら、その場をうろうろと歩いているセドナがいた。
「いたー!!」
ルフィは叫びながら階段を駆け上がり、セドナの細い腕を掴んだ。
「探したぞセドナっ
…たくよー、無事で良かった」
疲れたようにうなだれるルフィ。
そしてハッと目に入ったのは赤くなっているセドナの足だった。
「そうだ、お前…なんでコートと靴脱いだんだっ
絶対寒いだろっ風邪ひいたらどうすんだ!」
「…?」
通じないセドナは何故ルフィが怒っているのか分からない。
ルフィは持ってきていたコートをセドナの肩にかけ、ブーツを渡した。
「はけよ。足、冷たいだろ?」
「…ihcoc」
「ん?」
セドナが指さす方を見る。そこには上がりきった跳ね橋。
「あっち行きたいのか?」
「ihcoc」
もう一度跳ね橋を指差すセドナ。
それを見てルフィは確信した。
「分かった。連れてってやる」
「……」
「だから、靴はけ」
言葉は分からないがなんとなく理解したのか、セドナはブーツをはき始めた。
セドナがよろけて倒れないよう、ルフィがしっかりと体を支えて。
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