「セドナー!」

名前を呼びながらルフィはひたすら広すぎる城の中を走っていた。
短時間の間にどこへ行ってしまったのか。いくら探しても見当たらない。

「でもセドナが通った所には必ず変な壁はなくなってる。行ける道を通れば必ずたどり着くはずだ…!」

呟きながらルフィが開いている道を通り過ぎると城の中庭に出た。

「…!」

そこにあったのはナミに貸してもらったであろうコートとブーツ。
ルフィは慌てて駆け寄り、それを拾い上げた。

「これは…」

コートやブーツには無数の黒い羽がついている。

「やっぱりカラスに襲われたのか……っまさかもう攫われたのか!?」

立ち上がって周りを見渡すと道が出来ている場所がある。その道を通ると先に進めるようまた道が出来ていた。

「セドナの不思議な力でぶっ倒したのか?」

セドナが海で見せた不思議な電撃が一瞬の内に無数のカラスを一掃したことを思い出すルフィ。

「あんなに強ぇなら、なんで普段使わねぇんだろ」

疑問に思いながら、ルフィはコートとブーツを持って先に進んだ。



















「ねぇ、ロビン。調べたいことってなに?」

「ええ…ちょっと、あの古城について」

「…………」

「あれだけ大きな城なのにどうして人の気配がまったくなく、活気もないのか気になったの。
少し離れてる場所にあるとはいえ船さえ出せばとても良い観光地になるのに」

「たしかにそうだな」

サンジがタバコを取り出しながら同意する。
ナミも少し考えるように眉を寄せ

「そうね…
島の近くにあるのに無関心なのは不思議だわ」

「もしかすると、入れる場所がないから無関心なんじゃないのか?」

トナカイの姿に変え、四本足で歩きながらチョッパーが言う。

その時、前方に左右に分かれる道が見えた。ナミはその場に立ち止まりしばらく考える。

「……ナミ?」

「ナミさん?」

他の三人もナミより少し進んだ所で立ち止まって振り返る。
そしてナミは意を決したように

「ロビン、私も調べもの手伝うわ。
あの城…ちょっと色々と調べた方がいいかもしれない」

「船長さんと彼女のことはいいの?」

「ルフィだってセドナを一人にしたら攫われるって重々承知の上よ。そこまでバカじゃないと信じるわ」

「そうね。それに…恋する相手なら余計に、ね」

「そうよねっ」

「恋!?ナミさんにロビンちゃん!それどういう意味だ!?
まさかあのクソゴムっセドナちゃんに惚れてんのか!?」

「あら、気づいてなかったの?コックさん?」

「まぁ…普段うるさいルフィにしては静かな恋だし、アタックも上手く出来てないし…気付きにくいわよね。
たぶんゾロとウソップも分かってないんじゃないかしら」

「認めねぇ!!おれはそんなの認めねぇぞルフィー!!!」

「じゃああのカラス男ならいいの?」

「あんな奴論外だナミさん!
セドナちゃんを妻にするだなんてずえったいに認めねぇえええ!!」

サンジの怒りの叫び声は、雪振る寒い島中に響き渡ったのだった。



















走りすぎて疲れたルフィは、切れる息を正しながら小休止をとっていた。

「どこ行ったんだよ…セドナのやつ…っ」

通れる道を行けばすぐにたどり着くと思っていたルフィだが、しばらくしてその考えは誤りだと気付いた。

「城の中を移動するだけなら、あの変な壁ねぇんだよなぁ」

どうやらセドナの力によって開かれる壁は、城内から外へ出る時や外から城内へ入る道や出入り口のみ立っているようだ。
中庭から再び城内へ入ったルフィはいくつもある出入り口に戸惑い、足を留まらせていた。

「…ここはどこだ?」

無我夢中で階段を上ったり下りたりしていた為、現在地の階数はまったく分からない。
だがテラスから下を見下ろすと跳ね橋のようなものがあったり、その下にもまだエリアがあった。

「…んー…?」

ルフィはある一点をじっと見つめる。

そこには出入り口があり、更に城内の外へ通じている。その道はまだルフィが通ってない場所だった。

「あっちだ!」

ルフィはすぐにゴムゴムを利用してその通路へ向かう。

「セドナー!どこだー!返事しろー!!」

そして再び叫びながら、セドナを探して走り出したのだった。






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