無人島を発って数日。
航海は順調に進み、ついにそれは姿を現した。
「島が見えたぞー!!」
「ルフィ!あんた寒くないの!?」
「…………………寒ぃ!!」
「遅すぎるわ!!」
たどり着いたのは雪振る冬島。
すでにクルー達全員厚着をしているというのにルフィ一人だけいつもの服装だった。
慌ててルフィは厚着をしに部屋へと入る。
セドナもナミからコートとブーツを履かされて厚着をしている。
「…見て、あれ」
ナミが指差す先には上陸予定の島から少し離れた所にある古城。
その昔たくさんの人が通ったであろう橋も崩れており、もはや交通手段は船しかない。
そんな不便な古城に誰も行こうと思わないのか、活気がなく孤独そうに、だけど壮大な大きさで建っていた。
「さあ…なにかしら」
興味深そうにロビンが古城を見つめる。
その時海上を走る影を目の端で捉えた。
「あら、あの子…」
「え!?セドナ!?いつの間に海に降りたのっさっきまで横にいたのに!」
「おいおい良いのか?
あいつ、まっすぐ古城に向かってるぞ」
ゾロに指摘されナミだけでなくサンジもハッとした。
「セドナちゃーん!帰ってきてくれー!!」
「セドナおいでー!
一人になったらカラスに攫われるわよー!!」
日ごろは呼んだら必ず戻ってくるセドナ。
けれど今回は戻ってこない。ひたすら古城へと走っていく。
「うそ…こんなの初めて…」
「ふぃ〜、寒かったー」
ルフィが厚着をして戻ってくると、ナミはすぐルフィに掴みかかり
「ルフィ!早くセドナを連れ戻してっ
あの子上陸予定地と真逆の方向にある古城に一人で行ってるの!!」
「古城…?」
ルフィはナミから視線を外して前を見る。
そして目に入った古城に
「すっげえ!城だ城!!
よぉし…ゴムゴムの〜……」
イヤな予感がしてナミは素早く離れた。
「ロケット!!」
目にも止まらぬ早さでルフィは飛んで行った。
『自分が行ってどうするー!!!』
クルー全員など耳にも入らずルフィはひたすら飛び続け、やがて先に行っていたセドナに激突した。
衝撃にセドナは海上に座り込む。
「あああ…セドナ…
最近ルフィによくアタックされてるけど大丈夫かしら…」
「ふふっ船長さんは早く彼女に気持ちに気づいて欲しいのよ」
「それ違う意味のアタック!!」
その頃、ルフィに激突されたセドナは海上に座り込み
その背中にルフィが抱きつくようにしがみついていた。
「わりぃ…セドナ…っ
早く…海、歩かせて…くれぇ…!」
すぐにでも海に落ちてしまいそうなルフィに気づき、セドナはすぐルフィが歩けるよう無数の魚の道をつくった。
「フーッ助かったー」
ルフィはその魚の道に乗る。
そして未だ座り込んでいるセドナに手を差し出し
「立てるか?」
セドナはじっとルフィを見つめる。
やがて白い手をルフィの手におき、彼の引き上げによって再び海上に立った。
「よし、行こう!」
「……?」
「城が気になるんだろ?ならおれも一緒に行くぞ!冒険だ!!」
ぐいっと握ったままのセドナの手を引っ張り、一目散に古城へと走り出す。
セドナもその早さに頑張ってついて行くが、やはり追いつけず引きずられるような姿になってしまう。
けれど、その目はまっすぐと壮大な古城を見つめていた。
なにか
思いつめるように…
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