次の日の朝、船は無人島を出発した。

「次は飯屋がある島がいいぞ」

「春島出航から結構経ったし…
そろそろ着いてもいい頃だと思うわ」

「おお!楽しみだっ」

ナミの言葉にルフィはわくわくと胸を弾ませる。

「次はどんな島かしらね…
ってセドナ!?あまり遠くに行っちゃダメよ!?」

海上ではセドナがカモメを追って走っていた。
ナミの叫び声に気付き、ピタリと止まって戻ってくる。

「おれ思ったんだけど…セドナはちゃんとおれ達のこと仲間だと思ってくれてるのかな」

「え?」

手すりに座ってセドナを眺めていたチョッパーが不安げに言う。

ルフィとナミはチョッパーを見つめる。

「時々不安になるんだ。セドナが急にどっか行っちゃったりしないか…
どっか行っちゃって、二度と見つからなかったらどうしようって…」

「……チョッパー…」

顔を俯かせるチョッパー。

だが、対照的にルフィは明るい口調で

「心配すんなって!セドナがどっか行っても、おれが必ず連れ戻すっ」

「ルフィ…」

「そうよ!それにセドナだって、たとえ海の上でもどこか行こうと思えば行けるのに必ず帰ってくるじゃないっ
ということは、この船の居心地が良いからってことじゃないの?」

「ナミ……
……そうだよな。セドナは必ず、呼んだら来てくれるもんな!」

「おう!セドナは仲間だ!誰がなんと言おうと大切な仲間だ!
カラスマンには渡さねえ!」

「あんたどんだけ怒ってんのよ、あの男に」

その時、ルフィは突然セドナに向かって腕を伸ばし、勢いよく飛んで行った。

「ちょっと…!ルフィ!?」

急ブレーキなど出来るはずもなくルフィは海上にいるセドナと激突した。

「なにやってんのよあんたわ!!」

ルフィに激突されたセドナは海上で座り込んでしまっていた。
だがルフィが海に落ちたことに気づくとすぐに立ち上がり、海の中に手を入れて引き上げる。

引き上げられたルフィは満面の笑みで

「なあセドナ!また海を歩かせてくれよ!」

「……?」

言葉が分からず首を傾げる。

「海っ海を歩きてぇ!」

「………」

突然、海に浸かっているルフィの体がなにかに持ち上げられる浮遊感を感じた。

「?なんだ?」

海の中を見れば無数の魚達が集まってきて、体を海上へ上げようとしている。

「ははは!すんげえー!」

魚達によりルフィの体は海上へ上がり、そして立ち上がった。

「ありがとな!セドナっ」

「Don't mention it.」

「……あ、おい今…」

「…?」

「笑っただろ!今絶対笑った!」

「?…?」

「不思議そうな顔すんなっ笑え!船長命令だ!」

「……………?」

「よーし。笑わないつもりだな?
だったら笑うまで連れまわしてやる!」

セドナの手を握り、海上を走り出すルフィ。
引きずられるようにセドナも走る。

一部始終を見ていたナミとチョッパーは会話は聞こえないものの、微笑んで2人を見守っていた。

「エッエッエッルフィ楽しそうだな!」

「ほんとね。…まったく、早くくっつけばいいのに…じれったい」

「2人はくっつくのか!?」

「違う意味のね」

接着と勘違いしているチョッパーにナミは訂正するが、やはりまだ分からないようだ。
チョッパーは不思議そうに考えこみだした。

「船長さんは海に行ったの?」

ロビンが数冊の本を持って甲板にやって来た。
そしてナミと同じように微笑んでルフィとセドナを見守る。

「そうよ。またセドナが振り回されてるわ」

「そう。彼女も大変ね」

「ところでロビン。その本…なに?」

ナミが指差したのはロビンが持っていた本。

「これ?これは彼女のことが書かれてる本よ。
少しだけ古代神聖文字が書かれてたから勉強しようと思って」

「古代神聖文字?」

「あの子が話す言葉と文字のことよ。誰か一人でも彼女の言葉や文字が理解出来た方が良いでしょう?」

「…そうね」

ナミはもう一度2人を見る。

セドナはルフィに連れまわされながらも、どこか楽しそうに感じた。





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