航海中、見張り台にいたウソップによって見つかったのは小さな無人島。
海賊船のクルー達はちょっとした小休止としてその無人島に1日だけ停泊することになった。

「冒険だあー!」

「おいっ待てよルフィ!」

冒険好きの船長ルフィはジャングルと化している島に着くなり、輝かしい笑顔でジャングルへと入って行く。
同じく冒険好きのウソップもそれに続くように走って行った。

「ナミさんっロビンちゃん、セドナちゃん!
美しい三人の為に美味しい果物や木の実を取ってくるからねぇ〜!」

「おれはちょっと薬草を探してくるよ」

メロリンコックのサンジとチョッパーが同時に船を降り、それぞれ分かれてジャングルへと入って行く。

「…で、やっぱりこのメンバーが残ったわね」

船に残ったのはナミとロビン、ゾロとセドナだ。
ナミはしばらく考えるとやがてビシッとゾロを指差し

「ゾロ、船番頼むわよ」

「ああ?」

「私ちょっとこの島の海図が書きたいから色々まわってみたいのよ」

「私も、少し歩いてくるわ」

言いつつすでに出掛ける準備万端の2人。
それを見てゾロは舌打ちをすると

「わーったよ。さっさと行ってこい」

「言っとくけどセドナと一緒だからね?
本当はルフィと一緒にいさせてあげたいけど…あいつ飛んでっちゃったし、何よりこのジャングルでセドナが引きずりまわされるのがなんだか可哀想で…
なにかあったら必ずセドナを守ること!どっか行く時は必ず手を繋いで一緒に行くこと!目を離したらセドナすぐどっか行っちゃうからっ」

「へーへー」

「あと水汲みよろしく。樽一個分だから」

「おい!?」

「頼んだわよー」

「よろしくね剣士さん」

「て、はええ!!」

文句を言おうと振り返った時にはナミとロビンはすでに船を降りてジャングルへと入って行っていた。

「………仕方ねぇ先に終わらせるか」

ため息をつき、また振り返ると

「乗ってる!?」

ナミ達によって用意されていた樽の上にはセドナが立ち乗り、のんびりと空飛ぶカモメを見上げていた。


















樽をごろごろ転がしながら川を探すゾロ。
その後ろにはセドナもついて来ていた。

ゾロが手を繋ぐことを忘れていた為、セドナは自由にあちこちへと行くことが出来る。そして一人ジャングルへと入ろうとした時

「おいおい待て待てっ」

ガシッと腕を掴まれてあっさり引き戻された。

「たく、狙われてるくせにうろちょろすんな」

仕方なくゾロはセドナと手を繋ぐ。その時ゾロはふとセドナの足元を見た。

「おい…裸足じゃねぇか。靴ぐらいはいて来いよ」

だが同時に思い出すセドナの服や靴の荷物。

「…そうだったな…ナミが買ったサンダルしかねぇんだったな」

ゾロは深くため息をつくと『スカートだからな…』とブツブツ言いながら、ひょいっと軽々しく片腕でセドナを自分の肩に座らせるように抱き上げた。

「行くぞ」

そして何事もなかったように再び樽を転がしながら進みだす。

しばらくして

「…迷った」

方向音痴なゾロは顔を引きつらせて言った。

「…こっちだ!」

だが構わず分かれ道でゾロは右の方向へ進もうとする。だが

「ihcoc」

セドナの白い指先が左を指差した。

「…なんだ?」

「ihcoc」

同じ言葉を繰り返し、再び左を指差す。

「…………」

ゾロはとりあえずその言葉と指差す方向を半信半疑で進むことにした。

セドナの指差す方向へ進んでしばらく経った頃、2人は無事川にたどり着いたのだった。
















水汲みも終わり、船に戻って今度は鍛錬をするゾロ。

セドナは一人甲板に下りてきたカモメを追って過ごしている。

腕立てをしようとしたゾロは背に重りが欲しく、キョロキョロと周りを見回す。そして目に入ったのが木箱に乗って海を眺めているセドナ。

「…また乗ってる」

『高い所が好きなのか?』そう思わずにいられないゾロはとりあえずセドナの手をひっぱった。
不思議そうに首を傾げるセドナの前にドカッと座ると

「背中乗れ」

「………?」

「いいか?背中に乗れよ?
おれが良いっていうまで下りるな」

ゾロはそう言って腕立ての格好になり、片手で自分の背中をポンポンと叩いた。

セドナはしばらくじっと見つめ

「……………」

ゆっくりとゾロの背中に乗る。

「通じた…」

微かな感動を感じながら、腕立てを開始するゾロ。

しかし

「あ、おい!」

カモメを見つけるとさっさと降りて行ってしまうセドナ。

残念ながら、持続時間までは通じなかったようだ。


*もの様リクThank you!



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