それはナミのいたずら心から始まった。
応援してやる代わりにちょっとしたいたずらぐらいはさせてもらおうと勝手に決めつけ、酒樽からコップ一杯の量を掬い出し
何も分からないセドナに飲ませたのだ。
結果、飲み慣れてないセドナはすっかり酔ってしまい顔を赤くしてぼんやりとしている。
「予想通りといえば予想通りね」
「うーん、そうね。
でもなんとなく面白みが欠けるわ。これで日頃見せないセドナの姿をルフィに見せてその反応を楽しもうと思ったのに」
「あら、航海士さんも結構な悪女ね」
「ふふっロビン程じゃないけどっ」
ナミはとりあえず酔ってしまったセドナを外の風に当てて酔いを覚まそうと甲板に連れ出した。
するとそこには暇そうに壁に寄りかかって空を見上げるルフィがいた。
「あ、ルフィ丁度良いわ」
「なんだ?」
「セドナが水と間違えてお酒飲んじゃったみたいなのよ。
酔いが覚めるまで外の風に当てらせるから、いきなりどっか行っちゃったりしないよう見ててくれる?」
まさかルフィで遊ぶ為に酒を飲ませたとは言えずナミはさらりと嘘をつく。
だがそんなことが分かるはずもない単純な船長はすんなりと
「おう。いいぞ」
「じゃ、よろしく」
ルフィの隣にセドナを座らせ、ナミは室内へと入っていった。
「お前アホだなぁ。水と間違えるなんてよ」
すっかり信じきったルフィは困ったような顔をして言葉の通じないセドナに行った。
そんなセドナはうとうととし始めている。
ルフィは彼女の様子など分かるわけもなく空を見上げていた。
だが、しばらくして感じた肩の重みにルフィはセドナが座っている横をみる。
「っうわ!?」
すっかり眠ってしまったセドナはルフィの肩に頭を乗せてしまっていた。
驚いたルフィは慌てて離れようとしたが、支えがなくなり倒れかけたセドナを見て再び慌て、倒れるセドナをなんとか抱き止めた。
「お…おいっ」
揺すってみるが、やはり起きない。
セドナを抱いたまま途方に暮れるルフィ。
甲板には寝ているゾロとチョッパーしかいない。
「でもセドナったらね、やっぱり私が買ってきた服を着なくていつもの…」
「……あら」
船内から出てきたナミとロビンを見るなり、天の助けと言わんばかりにルフィが
「なぁ!セドナの奴寝ちまったんだ。どーすりゃいいんだ?」
唖然とする2人はセドナを抱くルフィを見つめる。
やがてクスクスと2人して笑い始めた。
ルフィはその意味が分からず首を傾げる。
「ルフィ、セドナは最初どんな姿で寝たの?」
「おれの肩に寄りかかってきた」
「じゃあそのままの姿で寝かせないと可哀想だわ」
「なんでだ?」
ロビンの言葉にルフィはキョトンとする。
「肩に寄りかかった姿のままが寝心地いいからじゃないかしら」
「でもよ〜おれ動けなくなるじゃねぇか」
「そうね。頑張ってね船長さん」
2人はまたクスクス笑いながら行ってしまった。
「…………」
ルフィは困ったように眠ったセドナを見つめ
「………」
ナミとロビンに言われた通りまた肩に寄りかからせた。
何故か緊張するルフィは体を動かしたくても動けない。
それでも、どこか暖かく感じる気持ちを心地良く思いながらセドナが目覚めるまでその姿を維持していた。
「あはははは!あーもールフィのやつほんっと楽しー!」
「船長さんは純情なのよ」
「楽しそうだねぇナミさんとロビンちゃん」
たとえキッチンにいる2人の女クルーに、知らずに笑われていたとしても…
*リン様リクThank you!
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