それから数日。

春島もそろそろ出発の時だ。女性クルーやサンジ、チョッパーやウソップなどは出発前の最後の買い出しに町へ向かっている。

船に残っているのはルフィとセドナだけ。

ゾロは鍛錬の為浜辺のどこかへと行ってしまった。

「腹減った…」

退屈なルフィはそう呟き、床に座り込んで後ろの壁に寄りかかった。

そこからはちょうど甲板でカモメを眺めたり、追いかけたりするセドナの様子がよく見れた。

「肉食いてぇなぁ」

呟きながらぼんやりとセドナを眺める。
セドナは近くの木箱に上り、立って空を飛ぶカモメを見ていた。

「……………」

暖かい陽気にあてられ、ルフィはそのまま眠ってしまう。
木箱に乗っていたセドナはそれに気づいた。

「………」

木箱から降りてルフィに駆け寄ると顔を覗き込んでじっと見つめる。

しばらくしてセドナはどこかへと走っていき、またしばらくしてルフィの元に戻ってきた。

セドナは持ってきた毛布をルフィに優しくかけると、その横に同じように壁にもたれかかって体操座りをする。

なにをするわけでもない
さざ波の音とカモメの鳴き声が空間を満たす静かな時が流れる。

やがて優しい太陽の光に導かれるように
セドナは静かな寝息をたてて眠ってしまい、力なく垂れた頭は必然的にルフィの肩に乗った…


















「仲がいいわね」

「ほんと」

しばらくして船に戻ってきたナミとロビンは、互いに頭を預けあって眠る二人の姿に微笑した。

ナミは女部屋から毛布を持ってくると、毛布を羽織っていないセドナにかけた。

「でも、セドナが寝てる姿って初めて見たわ。
今まで一度も寝たことなかったのに」

「女神だから、本当は食事も睡眠もいらないのかもしれないわね」

「だけどサンジくんが作る料理は毎日朝昼晩食べてるわよ?」

「私達に合わせてくれてるのかもしれないわ。
…けど、眠るのは本当に初めてね。どうしたのかしら」

「そうでしょう?」

「カラスの男性が、去っていく前彼女にしたことが少し気になるわ。
…ちょっと影響があるのかもしれない」

「どういう影響?」

「例えば…
最後彼女にしたのは、彼女の力を少しだけ奪うことだったとしたら?」

「……!」

「力を奪われつくしたこの子は一体どうなるのかしら…
あまり考えたくないわね…」

ロビンがそう呟き、セドナを見つめる。

その時、気配を察したのかルフィが目覚め
体が動かされたからかすぐ後にセドナも目をこすりながら目覚めた。

















「さぁ!出発だー!」

ルフィの元気な掛け声と共に船は出航した。
昼の高い太陽がキラキラと海を輝かせる。

「ってセドナ!?さっそく海!?」

出航したばかりでセドナはさっさと海へと降りてしまった。

「…まぁ仕方ないか」

いつものように海を歩きまわる姿を見てナミは苦笑しながらも優しく見守る。

その時、ナミの横に立っていたロビンがクスリと笑った。

「なに?ロビン」

「見て、船長さん」

言われた通りルフィを見る。
ルフィはどこか一点をじっと見つめて船首に座っていた。

ナミはその視線の先を見て納得する。

「あいつなりにアピールしてるのかもしれないわね」

ルフィがじっと見つめていたもの。

それは海上でのんびりと、だけど楽しげに散歩をするセドナだった。






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