町につくとルフィはまず飯屋に入ってガツガツと食事をしていた。

その横にはセドナがきちんと座っているが部屋の周りを見渡したり、ルフィの食事風景を見つめるだけで食事をしようとはしない。

「セドナは食わねぇのか?」

ずいっと料理の乗ったお皿を差し出してみるが

「…No」

首を左右に振る。
どうやらいらないようだ。
それを見るとルフィは一気にその皿に乗った料理を飲むように食べほした。

「うめぇぞ?」

そう言ってみるがやはり興味がなさそうだ。

ルフィは自分の中で自己解決するとさっさと料理をすべて平らげた。

「うまかった!
セドナ、冒険しようぜ冒険!」

離していた手をギュッと握ってセドナを引っ張る。
セドナは引っ張られながらも頑張ってルフィについて行った。

島の住民は皆海賊であるルフィ達に友好的だった。
その理由は、過去島に立ち寄った海賊達にあるという。

「その海賊がこの島を助けてくれたのさ!」

「たしかシャンクスとかいう名前だったなぁ」

「シャンクス!?おれ知り合いなんだっ」

島民の話に意外な名前が飛び出し、ルフィが興奮したように目を輝かせる。

「そりゃいい!今度会ったら礼を言っといてくれ」

「ああ!わかったっ」

それから島民と別れ、ルフィはセドナの手を引っ張って町の外れに向かう。

町の外れはまだ開拓が進んでいない、自然で光溢れる綺麗な森だった。

「すっげえ!セドナっすげぇな!」

同意を求めるルフィにセドナはこくりと頷いた。

「あの高い木に登って見下ろしてみようぜっ」

ルフィが指差したのは森の中でもひときわ高い杉の木。
腕を伸ばして枝を掴むとセドナと手を繋いだまま枝へと飛んで行った。

そしてきれいに枝に着地し、セドナも枝に着地させると

「うひょー!絶景だなぁ!!」

島の景色がすべて見渡せる高さにルフィは楽しそうに声を上げ、枝に座った。

セドナはそれを見て自分も枝に座る。
そしてルフィと一緒に島の景色を眺め始めた。

「おれ、シャンクスに憧れて海賊になったんだ」

突然ルフィが昔話を始める。
セドナはそんなルフィを眺めながらじっと通じない言葉に耳を傾けた。

「この帽子はシャンクスがくれたもんなんだ。
おれは海賊王になって、絶対シャンクスに会うんだ」

「………」

「なぁ、お前はどこから来たんだ?どんな島なんだ?
セドナはすげぇ力を持ってるからなっすげぇ奴でいっぱいの島なんだろうな!」

ニシシッと満面の笑みをセドナに見せるルフィ。

「なんかお前が来てから毎日楽しいんだ。
来る前も楽しかったけど、今はそれ以上だ!ありがとな!」

セドナは満面の笑みのルフィをじっと見つめる。

そして、次の瞬間

「……アリ…ガ、トウ……」

「……………!」

ルフィは目を見開き、口をあんぐりと開いて驚愕した。

「しゃ……しゃべった…!」

「?」

「セドナっお前言葉が分かるようになったのか!?」

「?……?」

詰め寄るルフィに不思議そうな顔をする。
どうやら言葉が分かるようになったわけではなく、『ありがとう』という言葉を覚えただけのようだ。

「シシシッまぁいいや。
言葉なんか通じなくてもおれはなんとなく分かるしな!」

「…………」

「いつか行ってみてぇな。
セドナの島に」

ルフィはそう言ってスヤスヤと木の幹に寄りかかって眠り始めた。
セドナとは手を繋いだままだ。

しかしセドナはその手を離そうとはせず、手を繋いだまま眠るルフィに付き合って何時間も枝に座って彼が目覚めるのを待っていたのだった。






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