夏島を出発して1ヶ月と少し経った頃、次の島が目前に迫っていた。

気候が変わったことにより、もはや恒例とも言える自体にナミがいち早く感づく。

「嵐がくるわ!
船を南に動かしてっ」

空気と風の変化を誰よりも体で感じ取れる有能な航海士、ナミの言葉は信憑性が高い。

クルーは総出で船を動かし始めた。

「セドナ、おいで!」

海でいつものように歩いてまわっていたセドナを手招きで呼ぶナミ。

だが、セドナは海の彼方をじっと見つめたまま気づかない。

「セドナ!」

もう一度呼ぶとセドナは気づき、手招きをするナミを見て小走りで戻ってきた。

とりあえず一安心するが、なんとなく様子がおかしい。

船に戻ってきたセドナに

「どうしたのセドナ。
なんだか変よ?」

「どこか悪いのかい!?セドナちゃん!」

「サンジくんはいいから船を動かして」

「はーい!ナミさんっ」

「…………」

セドナはじっと海を見つめている。

船が南に動き始め、そして同時に雲行きも怪しくなってきた。

「やっぱり嵐だわ」

波が荒ぶり始め、船を激しく揺らし始める。

「船内に入ってて?
セドナ、体が細いし小さいからなんだか飛ばされそう」

だがセドナは海を見つめたまま動かない。

天気も海も荒れだし、本格的な嵐が始まった。

「セドナ、早く!」

大きな波が船を襲う。
強い風が船を傾ける。

とてつもない激しさだ。
ナミはセドナの白い腕を引っ張って船内に入れようとする。

「間に合わないかもしれないわ!
だからセドナは……ってセドナ!?」

ナミの腕から逃れ、セドナは船の手すりに乗る。

「待って!なにする気!?」

止めるナミを気にせず海上へ飛び降りる。

真横から、大きな波がセドナに迫っていた。

「セドナ!!」

「なにしてんだセドナ!」

見ていたゾロとルフィが叫ぶ。

波が

セドナを頭から呑みこんだ。

「いやああ!」

思わず叫ぶナミ。

「セドナっ今助けてやる!」

ルフィが手を伸ばそうと構えた時だった。

海上に、波に呑まれたはずのセドナが変わりなく立っていた。

「…あれ」

「どうなってんの…?」

困惑するルフィとナミ。

セドナは両手を胸の前に置くと、ゆっくりと目を閉じる。そして、何故か体が光り始めビリビリと電撃が周りに現れる。

「なんだあれ!?」

「セドナ…?」

「あいつ、まだなにかあるのかよ」

三人が見守るなか、セドナに纏わりつくように発光していた電撃が

ドォォォン…!

大きな音を出して一瞬の内に海全体に広まった。

それがおさまると、セドナは光ったりなどしない元の少女に戻る。

変わったのは海の方だった。

雷が鳴り響き、雨や風が荒れ狂う空の下には
なんとも穏やかな波の海が広がっている。

「うそ…」

セドナは、海を鎮めたのだ。

「うそでしょ…?
人間にそんなことが…」

驚きを隠せないナミ。

セドナは平然とした顔で船に戻ってくる。

「あなた…本当に何者…?」

戸惑うゾロとナミの姿にセドナは不思議そうに見上げる。

しかしルフィだけは

「すげぇぞお前!よくやった!ありがとな!」

目をキラキラ輝かせている。

「…そうね、セドナのおかげで気にするのは天候だけでよくなったんだし……
ありがとうセドナ」

にこりとセドナに笑いかける。

セドナはいつも通り表情は変わらない。

「ナミさん!見てくれ!」

それからしばらく経って

船は嵐を抜け出し、目の前に島を見つけたのだった。






- 12 -

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -